今日は、令和4年度 第41問について解説します。
特定賃貸借標準契約書(国土交通省不動産・建設経済局令和3年4月23日更新)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、特約はないものとする。
① 特定賃貸借標準契約書では、貸主は、借主が家賃支払義務を3か月分以上怠っている場合であっても、相当の期間を定めて当該義務の履行を催告することなく契約を解除することはできないとされている。
② 特定賃貸借標準契約書は、賃貸住宅において借主が住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を目的として転貸することは認めないことが前提とされているため、民泊を認める場合は、特約事項欄に記載する必要がある。
③ 特定賃貸借標準契約書によれば、借主は、賃貸住宅の適切な維持保全を行うために必要な事項については、書面により貸主に情報の提供を求めなければならない。
④ 特定賃貸借標準契約書によれば、特定賃貸借契約が終了した場合において借主が転借人から敷金の交付を受けているときは、これを転借人との間で精算し、転借人から貸主に敷金を交付させなければならない。
解説
特定賃貸借標準契約書に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
貸主は、借主が家賃支払義務を3か月分以上怠っている場合であっても、相当の期間を定めて当該義務の履行を催告することなく契約を解除することはできないとされている。
〇適切です。
特定賃貸借標準契約書の主な内容(契約の解除)について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
借主が家賃支払義務を3か月分以上怠った場合、貸主が相当の期間を定めて当該義務の履行を催告したにもかかわらず、その期間内に当該義務が履行されないときは、本契約を解除することができるとされています。
契約を解除する場合には、催告する必要がありますね。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
特定賃貸借標準契約書は、賃貸住宅において借主が住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を目的として転貸することは認めないことが前提とされているため、民泊を認める場合は、特約事項欄に記載する必要がある。
×不適切です。
借主が民泊目的で転貸することができるか否かは、頭書に記載がある「転貸の条件」欄に、可否のいずれかを選択し、チェックを入れる方式になっています。
なお、特定賃貸借標準契約書においては、専ら住宅として使用することを目的として転貸することが前提となっていますが、民泊を目的として転貸することは認めない前提であるとはされていません。
つまり、特定賃貸借標準契約書は、賃貸住宅において借主が住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を目的として転貸することを認める場合は、頭書に記載がある「転貸の条件」欄に、可否のいずれかを選択し、チェックを入れる必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
借主は、賃貸住宅の適切な維持保全を行うために必要な事項については、書面により貸主に情報の提供を求めなければならない。
×不適切です。
特定賃貸借標準契約書の主な内容(引渡し)について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
貸主は、引渡日までに物件を引渡すこととされています。また、借主が物件の適切な維持保全を行うために必要な情報を提供することとされています。
借主のほうから、必要な情報を書面で貸主に求めることとはされていません。
つまり、貸主は、賃貸住宅の適切な維持保全を行うために必要な事項については、借主に情報を提供しなければならないとされています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
特定賃貸借契約が終了した場合において、借主が転借人から敷金の交付を受けているときは、これを転借人との間で精算し、転借人から貸主に敷金を交付させなければならない。
×不適切です。
特定賃貸借契約が終了した場合には、貸主が転貸人の地位を当然に承継するものとされています。
貸主が転貸人の地位を承継した場合には、借主は転借人から交付されている敷金、賃貸借契約書、その他地位の承継に際して必要な書類を貸主に引き渡さなければならないとされています。
つまり、特定賃貸借契約が終了した場合において、借主が転借人から敷金の交付を受けているときは、これを転貸人の地位を承継する貸主に引き渡さなければいけません。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢①になります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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