今日は、令和4年度 第35問について解説します。

令和4年度賃貸不動産経営管理士試験 第35

特定賃貸借契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

① 特定転貸事業者と、再転貸を行うことを目的とする転借人との間で締結された転貸借契約は、特定賃貸借契約に該当する。

② 借主が、1年間の海外留学期間中、第三者に転貸することを可能とする条件でされた貸主と借主との間の賃貸借契約は、特定賃貸借契約に該当する。

③ 借主が第三者に転貸する目的で賃貸借契約をする場合、転借人から受領する賃料と貸主に支払う賃料が同額であるときは、特定賃貸借契約に該当しない。

④ 社宅として使用する目的で賃貸住宅を借り上げた会社が、その従業員との間で転貸借契約を締結し、転貸料を徴収して従業員を入居させる場合は、転貸料の多寡を問わず、貸主と当該会社との間の賃貸借契約は特定賃貸借契約に該当する。

 

 

解説

特定賃貸借契約に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢①

特定転貸事業者と、再転貸を行うことを目的とする転借人との間で締結された転貸借契約は、特定賃貸借契約に該当する。

 

〇適切です。

特定賃貸借契約について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

特定賃貸借契約とは、第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結される賃貸住宅の賃貸借契約のことをいいます。特定転貸事業者からさらに賃貸住宅を借り上げて第三者へ再転貸する場合、特定転貸事業者と再転貸をする事業者との間の賃貸借契約も、特定賃貸借契約となります。

選択肢の説明通りですね。この選択肢は適切です。


 

選択肢②

借主が、1年間の海外留学期間中、第三者に転貸することを可能とする条件でされた貸主と借主との間の賃貸借契約は、特定賃貸借契約に該当する

 

×不適切です。

特定賃貸借契約に該当しない場合について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

一時的に第三者に転貸する場合や、貸主と借主が人的関係・資本関係等で密接な関係がある場合などは、特定賃貸借契約に該当しないものとされています。

つまり、借主が、1年間の海外留学期間中、第三者に転貸することを可能とする条件でされた貸主と借主との間の賃貸借契約は、一時的に第三者に転貸することを認める旨の条件を付けただけに過ぎず、特定賃貸借契約に該当しません。よってこの選択肢は不適切です。


 

選択肢③

借主が第三者に転貸する目的で賃貸借契約をする場合、転借人から受領する賃料と賃主に支払う賃料が同額であるときは、特定賃貸借契約に該当しない

 

×不適切です。

選択肢①でも解説したとおり、特定賃貸借契約とは、第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結される賃貸住宅の賃貸借契約のことをいます。転貸する事業を営むというのは、営利の目的をもって反復継続して転貸することですが、営利を目的としているかどうかは、客観的かつ事業スキーム全体の事業性から判断されます。たとえば転借人から受領する賃料と賃主に支払う賃料が同額であっても、それだけでは営利の目的がないとは言い切れません。

つまり、借主が第三者に転貸する目的で賃貸借契約をする場合、転借人から受領する賃料と賃主に支払う賃料が同額であったとしても、特定賃貸借契約に該当するかどうかは客観的かつ事業スキーム全体の事業性によって判断されます。よってこの選択肢は不適切です。


 

選択肢④

社宅として使用する目的で賃貸住宅を借り上げた会社が、その従業員との間で転貸借契約を締結し、転貸料を徴収して従業員を入居させる場合は、転貸料の多寡を問わず、貸主と当該会社との間の賃貸借契約は特定賃貸借契約に該当する

 

×不適切です。

借り上げ社宅の場合について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

借り上げ社宅は、企業が社宅代行業者との間で賃貸借契約を締結し、そこに従業員を住まわせるという形が多いですが、この場合、企業は社内規定などに基づいて従業員に利用させることが一般的で、企業は営利の目的をもって反復継続して転貸とはいえないため、特定転貸事業者には該当しません。また、企業と従業員との間で転貸借契約を締結しているような場合、従業員から徴収する転貸料が相場よりも低廉であれば、利益を目的としたものとは言えないため、特定転貸事業者には該当しないとされています。

つまり、社宅として使用する目的で賃貸住宅を借り上げた会社が、その従業員との間で転貸借契約を締結し、転貸料を徴収して従業員を入居させる場合は、転貸料が相場より低廉であるなど営利の目的がない場合、貸主と当該会社との間の賃貸借契約は特定賃貸借契約に該当しませんよってこの選択肢は不適切です。


 

以上から、正解は選択肢①となります。

 

特定賃貸借契約に関する問題は、重要事項説明、契約締結時書面、特定賃貸借標準契約書について、例年複数問出題されています。

管理受託契約と同様、超重要テーマであることがわかります。

ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

★関連解説★

特定賃貸借契約(契約締結時書面)(R3年 第36問)

特定賃貸借契約(重要事項説明)(R3年 第38問)

 

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