今日は、令和4年度 第31問について解説します。

令和4年度賃貸不動産経営管理士試験 第31

令和3年6月15日時点で既に賃貸住宅管理業を営み、管理戸数が200戸以上である管理業者Aに対する管理業法の規制に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

 

ア Aは、賃貸住宅管理業登録をしなくとも、令和4年6月15日以降、それ以前に締結した管理受託契約の履行に必要な限度で、賃貸住宅の維持保全を内容とする管理業務を行うことができる。

 

イ Aは、賃貸住宅管理業登録をしなければ、令和4年6月15日以降、賃貸人との間で新たに賃貸住宅の維持保全を内容とする管理受託契約を締結し、管理業務を行うことができない。

 

ウ Aは、賃貸住宅管理業登録をしなければ、令和4年6月15日以降、建物所有者との間で特定賃貸借契約を締結することはできない。

 

エ Aは、賃貸住宅管理業登録をしなくとも、令和4年6月15日以降、それ以前に締結した特定賃貸借契約に基づき、入居者との間で新たに転貸借契約を締結することができる。

 

1 ア、イ

2 ア、ウ

3 イ、ウ

4 ウ、エ

 

解説

賃貸住宅管理業法の規制に関する問題です。

 

まずは、この問題に出てくる日付について整理しておきましょう。

 

令和3年6月15日は、賃貸住宅管理業法の施行日です。

法施行初期の経過措置として設けられた移行期間が、令和4年6月15日までとされていました。

選択肢に、「令和4年6月15日以降は」という言葉が入っていてわかりづらく感じますが、そこはあまり気にせず、現行の賃貸住宅管理業法に基づくととらえて、問題を解いていただいて大丈夫です。

 

それではそれぞれの選択肢をみていきましょう。

 


 

選択肢 ア

Aは、賃貸住宅管理業登録をしなくとも、令和4年6月15日以降、それ以前に締結した管理受託契約の履行に必要な限度で、賃貸住宅の維持保全を内容とする管理業務を行うことができる。

 

×不適切です。

法施行初期の経過措置として、従来から賃貸住宅管理業を営んでいた業者は、1年間は登録を受けなくても賃貸住宅管理業を営むことができるとされていました。

経過措置後は、現行の賃貸住宅管理業法の通り、賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。Aは管理戸数200戸を超えていますので、必ず登録しなくてはいけませんね。

つまり、Aは、賃貸住宅管理業登録をしなければ、令和4年6月15日以降、それ以前に締結した管理受託契約の履行に必要な限度であっても、賃貸住宅の維持保全を内容とする管理業務を行うことができません。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 イ

Aは、賃貸住宅管理業登録をしなければ、令和4年6月15日以降、賃貸人との間で新たに賃貸住宅の維持保全を内容とする管理受託契約を締結し、管理業務を行うことができない。

 

〇適切です。

賃貸住宅の維持保全を内容とする管理受託契約を締結し、管理業務を行うことは賃貸住宅管理業務に該当しますので、登録を受ける必要があります。

選択肢の説明通り、Aは、賃貸住宅管理業登録をしなければ、令和4年6月15日以降(現行の賃貸住宅管理業法に基づき)、賃貸人との間で新たに賃貸住宅の維持保全を内容とする管理受託契約を締結し、管理業務を行うことはできません。よってこの選択肢は適切です。

 


選択肢 ウ

Aは、賃貸住宅管理業登録をしなければ、令和4年6月15日以降、建物所有者との間で特定賃貸借契約を締結することはできない

 

×不適切です。(注意が必要です)

特定転貸事業者(サブリース業者)は、賃貸住宅管理業法の規制対象であり、特定賃貸借契約(サブリース契約)を締結する際には、管理業法に基づいた手続きや規制が適用されます​​。

ただし、賃貸住宅管理業法に基づく管理業登録は、特定賃貸借契約を締結する際の必要条件ではありません。管理業登録を行わなくても、サブリース契約(特定賃貸借契約)の締結は可能ということです。

つまり、賃貸住宅管理業登録をしなくても、令和4年6月15日以降(現行の賃貸住宅管理業法に基づき)、建物所有者との間で特定賃貸借契約を締結することができます。よってこの選択肢は不適切です。

ただし、この問題では、Aは「管理戸数が200戸以上の管理業者」であるという前提があるため、Aは管理業者としての登録が必要です​。

よって補足しますと、賃貸住宅管理業登録をしなくても、令和4年6月15日以降(現行の賃貸住宅管理業法に基づき)、建物所有者との間で特定賃貸借契約を締結することができますが、その事実にかかわらず、Aは賃貸住宅管理業登録が必要です。

問題の前提をふまえると、少し注意が必要な選択肢ですね。

 


選択肢 エ

Aは、賃貸住宅管理業登録をしなくとも、令和4年6月15日以降、それ以前に締結した特定賃貸借契約に基づき、入居者との間で新たに転貸借契約を締結することができる。

 

〇適切です。(注意が必要です)

選択肢ウの解説と同様となりますが、再確認していきます。

特定転貸事業者(サブリース業者)は、賃貸住宅管理業法の規制対象ですが、賃貸住宅管理業法に基づく管理業登録は、転貸借契約を締結する際の必要条件ではありません。管理業登録を行わなくても、転貸借契約の締結は可能ということです。

つまり、賃貸住宅管理業登録をしなくても、令和4年6月15日以降(現行の賃貸住宅管理業法に基づき)、それ以前に締結した特定賃貸借契約に基づき、入居者との間で新たに転貸借契約を締結することはできます。この点について、この選択肢は適切です。

 

ただし、この問題では、Aは「管理戸数が200戸以上の管理業者」であるという前提があるため、Aは管理業者としての登録が必要です​。

よって補足しますと、賃貸住宅管理業登録をしなくても、令和4年6月15日以降(現行の賃貸住宅管理業法に基づき)、それ以前に締結した特定賃貸借契約に基づき、入居者との間で新たに転貸借契約を締結することはできますが、その事実にかかわらず、Aは賃貸住宅管理業登録が必要です。

この選択肢も、問題の前提をふまえると、少し注意が必要ですね。

 


 

以上から、正しいものの組合わせはイとウですので、正解は選択肢③になります。

※問題に「Aは管理業者としての登録が必要」という大前提がある以上、選択肢ウ、エに関して少し疑問が残りますが、出題意図を汲み、本ブログでは選択肢③を正解として解説させていただきました。なお、公式の解答でも、正解は「選択肢③」となっています。

 

 

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