今日は、令和3年度 第36問について解説します。
特定転貸事業者が特定賃貸借契約を締結したときに賃貸人に対して交付しなければならない書面(以下、「特定賃貸借契約締結時書面」という。) に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
①特定賃貸借契約締結時書面は、特定賃貸借契約書と同時に賃貸人に交付する必要はない。
②特定転貸事業者が特定賃貸借契約を更新する際、賃貸人に支払う家賃を減額するのみでその他の条件に変更がなければ、特定賃貸借契約締結時書面の交付は不要である。
③特定賃貸借契約締結時書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合、あらかじめ相手方の承諾を得なければならない。
④特定転貸事業者が特定賃貸借契約締結時書面の交付を怠った場合、50万円以下の罰金に処される場合がある。
解説
特定賃貸借契約の締結時書面に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢①
特定賃貸借契約締結時書面は、特定賃貸借契約書と同時に賃貸人に交付する必要はない。
〇適切です。
契約締結時の書面について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
特定賃貸借契約を締結したときは、遅滞なく契約締結時の書面を交付しなければいけません。また、契約書と同一の書面にすることは可能です。契約書と同時に交付するものとはされていませんので、この選択肢は適切です。
選択肢②
特定転貸事業者が特定賃貸借契約を更新する際、賃貸人に支払う家賃を減額するのみでその他の条件に変更がなければ、特定賃貸借契約締結時書面の交付は不要である。
×不適切です。
重要事項説明および、契約締結時書面が不要な場合ついて、まとめシートでは以下の通り解説しています。
契約の同一性を保ったまま契約期間のみを延長する場合、通常の更新はこれに該当しますが、選択肢では家賃の額を変更するものとなっています。これは特定賃貸借契約の内容変更に当たり、契約締結時書面の交付が必要です。
つまり、特定転貸事業者が特定賃貸借契約を更新する際、賃貸人に支払う家賃を減額するのみでその他の条件に変更がなかったとしても、特定賃貸借契約締結時書面の交付は必要です。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢③
特定賃貸借契約締結時書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合、あらかじめ相手方の承諾を得なければならない。
〇適切です。
特定賃貸借契約締結時書面を電磁的方法によって提供する際は、あらかじめ相手方の承諾を得る必要があります。よってこの選択肢は適切です。なお、管理受託契約重要事項説明書、管理受託契約締結時書面、特定賃貸借契約重要事項説明書も同様で、あらかじめ相手方の承諾を得ていれば電磁的方法によって提供することができます。
選択肢④
特定転貸事業者が特定賃貸借契約締結時書面の交付を怠った場合、50万円以下の罰金に処される場合がある。
〇適切です。
罰則について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
特定転貸事業者が、書面の交付義務に違反して特定賃貸借契約締結時書面の交付を怠った場合は、50万円以下の罰金刑に処されることがあります。よってこの選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
特定賃貸借契約に関する問題は、重要事項説明、契約締結時書面、特定賃貸借標準契約書について、例年複数問出題されています。
管理受託契約と同様、超重要テーマであることがわかります。
これからも、関連する過去問を取り上げますので、ぜひブックマークをお願いいたします。
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