今日は、令和3年度 第46問について解説します。
賃貸住宅に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 住生活基本法に基づき令和3年3月19日に閣議決定された住生活基本計画では、基本的な施策として、子育て世帯等が安心して居住できる賃貸住宅市場の整備が掲げられている。
② 家賃債務保証業者登録規程(平成29年10月2日国土交通省告示第898号)によれば、国土交通大臣は、家賃債務保証業者登録簿を一般の閲覧に供する。
③ 不動産登記において建物の床面積は、区分所有建物の専有部分の場合を除き、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により計算する。
④ 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときの損害賠償責任を、賃貸不動産の管理を受託した賃貸住宅管理業者が負うことはない。
解説
賃貸住宅や不動産の基礎知識などに関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
住生活基本法に基づき令和3年3月19日に閣議決定された住生活基本計画では、基本的な施策として、子育て世帯等が安心して居住できる賃貸住宅市場の整備が掲げられている。
〇適切です。
住生活基本計画について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
住生活基本計画に掲げている目標のひとつに、子どもを産み育てやすい住まいの実現(目標3)があります。
施策としては、良質で長期に使用できる民間賃貸住宅ストックの形成と賃貸住宅市場の整備が掲げられています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
家賃債務保証業者登録規程(平成29年10月2日国土交通省告示第898号)によれば、国土交通大臣は、家賃債務保証業者登録簿を一般の閲覧に供する。
〇適切です。
家賃債務保証業とは、賃貸住宅の賃借人の委託を受けて賃借人の家賃の支払に係る債務を保証することを業として行うことです。
家賃債務保証業を営む者は、国土交通大臣の登録を受けることができます。
登録を受けた場合、登録簿に登載され、一般の閲覧に供されます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
不動産登記において建物の床面積は、区分所有建物の専有部分の場合を除き、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により計算する。
〇適切です。
不動産登記において、床面積は各階ごとに計算されます。その際の面積の範囲は「壁その他の区画の中心線」で囲まれた部分の「水平投影面積」です。
区画の中心線で囲まれた部分というのは、壁の「真ん中」を基準にして、部屋や建物の面積を計算するということです。ちなみにこのような基準は「壁芯」といわれます。
水平投影というのは、カメラで建物を真上から撮影するようなイメージです。
なので、ざっくりいうと壁の真ん中を境目にして囲まれた部分を真上からカメラで撮ったときの面積が各階の床面積ということになります。
なお、区分所有建物の専有部分は壁の内側の面積を基準に計算します。壁の厚みは含まれません。ちなみにこのような基準は「内法(うちのり)」といわれます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときの損害賠償責任を、賃貸不動産の管理を受託した賃貸住宅管理業者が負うことはない。
×不適切です。
土地工作物の責任の主体について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
工作物に瑕疵があり、他人に損害を与えたときは、まず工作物の占有者が責任を負うこととなっています。賃貸住宅で言うと借主ですね。
占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意を尽くしていたときは、工作物の所有者が責任を負います。こちらは賃貸住宅で言うと貸主ですね。
また、建物の安全確保について事実上の支配をなしている(安全を管理している)場合には、賃貸住宅管理業者が占有者として土地工作物責任を負うことがあります。
つまり、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときの損害賠償責任を、賃貸不動産の管理を受託した賃貸住宅管理業者が負うことがあります。(建物の安全確保について事実上の支配をなしている場合には、賃貸住宅管理業者が占有者とみなされます。)
以上から、正解は選択肢④となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
★関連解説★
【参考関連過去問:選択肢エ 家賃債務保証業者について】
※この問題の選択肢エと、関連知識に関してという部分に、家賃債務保証業者関連知識を解説しています。
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