今日は、令和3年度 第35問について解説します。
特定転貸事業者の貸主への報告に関する次の記述のうち、特定賃貸借標準契約書によれば最も適切なものはどれか。ただし、特約はないものとする。
① 貸主との合意に基づき定めた期日において、賃貸住宅の維持保全の実施状況や転貸条件の遵守状況、転借人からの転借料の収納状況について、貸主に対し書面を交付して定期報告を行わなければならない。
② 貸主は、借主との合意に基づき定めた期日以外であっても、必要があると認めるときは、借主に対し、維持保全の実施状況に関して報告を求めることができる。
③ 修繕を必要とする箇所を発見した場合、それが緊急を要する状況ではなかったときには、定期報告において貸主に書面を交付して報告を行うことができる。
④ 自然災害が発生し緊急に修繕を行う必要が生じたため、貸主の承認を受ける時間的な余裕がなく、承認を受けずに当該業務を実施したときは、貸主への報告をする必要はない。
解説
特定賃貸借標準契約書に関する問題です。
特定賃貸借標準契約書は、特定賃貸借契約のひな形として、国土交通省が作成・提供しているものです。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
貸主との合意に基づき定めた期日において、賃貸住宅の維持保全の実施状況や転貸条件の遵守状況、転借人からの転借料の収納状況について、貸主に対し書面を交付して定期報告を行わなければならない。
×不適切です。
借主は、定めた期日や頻度で定期的に、貸主に維持保全状況の報告を行うものとされています。
また、報告の対象には、転貸の条件の遵守状況も含まれます。
なお、維持保全の実施状況について、貸主は借主に関係書類の提示を求めることができるとされていますが、書面を交付して定期報告を行うということまでは求められておらず、転借人からの転借料の収納状況に関しては、定期報告の内容とはされていません。
つまり、貸主との合意に基づき定めた期日において、賃貸住宅の維持保全の実施状況や転貸条件の遵守状況について、貸主に対し定期報告を行わなければならないとされています。(転借人からの転借料の収納状況については定期報告の内容とはされていません。また、書面を交付することまでは、求められていません。)よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
貸主は、借主との合意に基づき定めた期日以外であっても、必要があると認めるときは、借主に対し、維持保全の実施状況に関して報告を求めることができる。
〇適切です。
合意された期日以外でも、貸主は必要に応じて、借主に対して維持保全の実施状況に関して報告を求めることができます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
修繕を必要とする箇所を発見した場合、それが緊急を要する状況ではなかったときには、定期報告において貸主に書面を交付して報告を行うことができる。
×不適切です。
借主は修繕が必要な箇所を発見したときは、その旨を速やかに貸主に通知し、修繕の必要性について協議するものとされています。
定期報告まで通知するのを待つことは遅すぎますね。なお、通知が遅れたことで貸主に損害が生じたときは、借主が賠償するものとされています。
つまり、修繕を必要とする箇所を発見した場合、それが緊急を要する状況ではなかったときには、その旨を速やかに貸主に通知し、修繕の必要性を協議する必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ④
自然災害が発生し緊急に修繕を行う必要が生じたため、貸主の承認を受ける時間的な余裕がなく、承認を受けずに当該業務を実施したときは、貸主への報告をする必要はない。
×不適切です。
借主は災害や事故等により緊急性がある場合、貸主の承認を受ける時間的な余裕がないときには、承認を受けずに業務を実施することができるとされています。
なお、この場合、借主は速やかに書面で業務の内容や費用の額を通知するものとされています。
つまり、自然災害が発生し緊急に修繕を行う必要が生じたため、貸主の承認を受ける時間的な余裕がなく、承認を受けずに当該業務を実施したときは、借主は、貸主へ速やかに書面で業務の内容や費用の額を通知する必要があります。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
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