今日は、令和3年度 第17問について解説します。
建物の修繕に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 建物は時間の経過とともに劣化するので、長期修繕計画を策定し、維持管理コストを試算することは有益である一方、その費用は不確定なことから賃貸経営の中に見込むことはできない。
② 長期修繕計画は、数年に一度は見直しを行うことにより、適切な実施時期を確定することが必要である。
③ 長期修繕計画によって修繕費とその支払時期が明確になることから、将来に備えて計画的な資金の積立てが必要となる。
④ 計画修繕を実施することで、住環境の性能が維持でき、入居率や家賃水準の確保につながり、賃貸不動産の安定的経営を実現できる。
解説
建物の修繕(修繕計画)に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
建物は時間の経過とともに劣化するので、長期修繕計画を策定し、維持管理コストを試算することは有益である一方、その費用は不確定なことから賃貸経営の中に見込むことはできない。
×不適切です。
建物や設備は、時間とともに劣化していきますが、適切な修繕を施せば長持ちさせることができます。
長期的な視野で、いつ・どこを・どのように・いくらくらいで修繕するかを「長期修繕計画」としてまとめておくことは、維持管理コストを試算するうえでも有益です。
そのため、長期修繕計画を策定し維持管理コストを試算し、維持管理費用を見込むことは賃貸経営において重要です。
つまり、建物は時間の経過とともに劣化するので、長期修繕計画を策定し、維持管理コストを試算することは有益であり、その費用についても賃貸経営の中に見込むことが重要です。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
長期修繕計画は、数年に一度は見直しを行うことにより、適切な実施時期を確定することが必要である。
〇適切です。
長期修繕計画は、実際にその建物で行われた工事を反映したり、類似事例を参考にして、数年に一度は見直しを行う必要があります。
これにより、修繕の適切な実施時期や費用を確定でき、長期修繕計画の精度を高めることも可能となります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
長期修繕計画によって修繕費とその支払時期が明確になることから、将来に備えて計画的な資金の積立てが必要となる。
〇適切です。
長期修繕計画によって、修繕費用とその支払いの時期を予測できるようになります。
また、長期修繕計画を着実に実施していくためには、資金的な裏付けを得ることが必要です。一時的に大きな費用がかかることもあるため、事前の資金準備が賃貸経営の安定につながります。
なお、管理業者は建物を管理するプロとして、建物・設備の故障や破損が起こる前に修繕を行えるよう、あらかじめ修繕計画を立案し、貸主に説明し、貸主に資金面も含めた準備をしてもらうようにすることが重要となります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
計画修繕を実施することで、住環境の性能が維持でき、入居率や家賃水準の確保につながり、賃貸不動産の安定的経営を実現できる。
〇適切です。
適切な修繕は、建物や設備の耐久性や安全性を維持したり、建物の寿命を延ばすことができるだけでなく、建物の資産価値を維持することにもつながります。
計画修繕を実施することによって、中・長期的には入居者の満足度を高め、結果的に高い入居率や家賃水準の維持につながります。
これにより、賃貸経営の安定性が向上し、長期的な収益を確保できる可能性が高まります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢①となります。
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