今日は、賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度 第50問について解説します。
不動産証券化と管理業者の役割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 不動産証券化とは、不動産の権利を証券に結びつけることを前提にして、不動産投資と不動産事業の管理運営をマネジメントする仕組みである。
② 不動産証券化において、プロパティマネージャーは投資一任の業務や投資法人の資産運用業務など投資運用を行うので、投資運用業の登録が必要である。
③ 不動産証券化においてプロパティマネージャーの行う調査・提案業務は、投資家が多数であり、そのメンバーは常に入れ替わる可能性があるため、不特定の相手方に対する論理的な説得力が必要である。
④ 中・長期的な改修・修繕の計画を策定し、実施する業務であるコンストラクションマネジメントは、プロパティマネジメント業務においても、取り入れられつつある。
解説
不動産証券化に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
不動産証券化とは、不動産の権利を証券に結びつけることを前提にして、不動産投資と不動産事業の管理運営をマネジメントする仕組みである。
〇適切です。
不動産証券化とは、不動産の権利を証券化することを前提として、資金を調達したり、運用を進めるなど、不動産投資と不動産事業の管理運営をマネジメントする仕組みを指します。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
不動産証券化において、プロパティマネージャーは投資一任の業務や投資法人の資産運用業務など投資運用を行うので、投資運用業の登録が必要である。
×不適切です。
プロパティマネジメントとは、実際の賃貸管理・運営を行う業務のことで、それらを行う専門家のことをプロパティマネージャーといいます。プロパティマネージャーは、アセットマネージャーから委託を受けてその業務を行います。
また、アセットマネジメントとは、不動産投資について資金運用の計画、決定・実施、実施の管理などの業務を行うことをいい、それらを行う専門家のことをアセットマネージャーといいます。投資一任の業務や投資法人の資産運用業務など、投資運用を行うのは、アセットマネージャーということですね。
なお、顧客から委託を受けて、顧客資産を運用する業務(投資一任業)を国内の拠点で行う場合には、投資運用業の登録が必要です。
つまり、不動産証券化において、アセットマネージャーは投資一任の業務や投資法人の資産運用業務など投資運用を行うので、投資運用業の登録が必要です。
よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
不動産証券化においてプロパティマネージャーの行う調査・提案業務は、投資家が多数であり、そのメンバーは常に入れ替わる可能性があるため、不特定の相手方に対する論理的な説得力が必要である。
〇適切です。
プロパティマネジメントとは、投資家から委託を受けて、投資家のために行われる業務です。プロパティマネージャーが行う調査・提案業務は、投資家の投資判断に役立つ情報や提案を提供することが求められます。
投資家は多数存在し、その構成は入れ替わることもあります。そのため、プロパティマネージャーは賃貸管理・運営の専門家として、不特定の相手方に対して、業務内容の合理性を論理的に説明できるようにしておく必要があります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
中・長期的な改修・修繕の計画を策定し、実施する業務であるコンストラクションマネジメントは、プロパティマネジメント業務においても、取り入れられつつある。
〇適切です。
中長期的な建物や設備の改修・修繕計画の策定および実施を行う業務であるコンストラクションマネジメントは、プロパティマネジメント業務にも取り入れられはじめています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
なお、コンストラクションマネジメントや、借主の維持を目的とするテナントリテンションは、プロパティマネージャーが行う調査・提案業務の一環として重要性の高い業務とされています。
以上から、正解は選択肢②となります。
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