今日は、賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度 第31問について解説します。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」の考え方を前提とした場合、原状回復に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 借主の喫煙を理由として壁クロスの交換が必要となった場合、6年で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。
イ 借主の過失によりフローリング床全体の張り替えが必要となった場合の張り替え費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる。
ウ 耐用年数を経過した壁クロスであっても、借主が故意に落書きをした部分を消すのに要する費用は、借主の負担となることがある。
エ 借主の過失により必要となったクッションフロアの交換費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる。
1 ア、イ
2 ア、ウ
3 イ、エ
4 ウ、エ
解説
「原状回復ガイドライン」に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
借主の喫煙を理由として壁クロスの交換が必要となった場合、6年で残存価値1円となるような直線を想定し、負担割合を算定する。
〇適切です。
タバコ等によるヤニや臭いの付着については、部屋全体がヤニで変色したり臭いが付着している場合、当該居室全体のクリーニングまたは張り替え費用を借主負担とすることが可能です。
選択肢の説明通り、借主の喫煙を理由として壁クロスの交換が必要となった場合には、6年で残存価値1円となるような直線を想定し負担割合を算定しますので、この選択肢は適切です。
選択肢 イ
借主の過失によりフローリング床全体の張り替えが必要となった場合の張り替え費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる。
×不適切です。
フローリングを毀損させた場合、経過年数は原則として考慮しないものとされています。
ただし、借主の過失による毀損で全体を張り替えた場合は、当該建物の耐用年数から負担割合を算定します。
つまり、借主の過失によりフローリング床全体の張り替えが必要となった場合の張り替え費用は、当該建物の耐用年数から負担割合を算定します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
耐用年数を経過した壁クロスであっても、借主が故意に落書きをした部分を消すのに要する費用は、借主の負担となることがある。
〇適切です。
クロスが耐用年数を超えていても、故意に落書きを行った場合は、これを消すための費用などについては、借主負担となることがあります。
これは、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があるからです。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 エ
借主の過失により必要となったクッションフロアの交換費用は、経年変化を考慮せず、全額借主の負担となる。
×不適切です。
クッションフロアは、耐用年数6年として最終的な残存価値が1円となるようにして負担割合を算定します。
つまり、借主の過失により必要となったクッションフロアの交換費用は、耐用年数6年として最終的な残存価値が1円となるようにして負担割合を算定します。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、誤っている選択肢はイとエですので、正解は選択肢③となります。
原状回復ガイドラインに関する問題は例年複数問出題されています。
また、適切(または不適切)なものの個数を問うものはR4年、R5年試験において連続で出題されています。
ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。
★関連解説★
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いよいよ明日は賃貸不動産経営管理士試験ですね。
これまでの頑張りを信じて、頑張ってきてくださいね。
心より応援しています。
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