今日は、賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度 第25問について解説します。

令和2年度賃貸不動産経営管理士試験 第25

破産と賃貸借に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

① 借主につき破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任されると、賃主が賃料の支払を催告する相手方は、破産管財人となる。

 

② 借主につき破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任された場合、破産管財人は、賃貸借契約を解除することができる。

 

③ 借主につき破産手続の開始が決定されたことは、民法上は、貸主が賃貸借契約を解除する理由にならない。

 

④ 貸主につき破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任されると、借主は預け入れている敷金の額まで賃料の支払いを拒むことができる。

 

 

 

解説

破産と賃貸借に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。

 


選択肢 ①

借主につき破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任されると、賃主が賃料の支払を催告する相手方は、破産管財人となる。

 

〇適切です。

破産手続の開始が決定されると、破産管財人が選任され、借主の財産は破産財団として破産管財人が管理・処分します。

賃料の支払いも破産管財人が履行しますので、貸主が賃料支払いを催告する相手方は破産管財人になります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ②

借主につき破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任された場合、破産管財人は、賃貸借契約を解除することができる。

 

〇適切です。

賃貸借契約は双務契約であり、契約の双方が義務を負う契約です。

破産法第53条では、双務契約について、破産者およびその相手方が破産手続開始の時において、共にまだその履行を完了していない場合、破産管財人は契約を解除するか、または破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができるとされています。

言い換えると、賃貸借契約の履行がまだ進行中のときには、破産管財人が契約を解除するか、または履行を継続するかを選択できるということです。

選択肢の説明の通り、破産管財人は賃貸借契約の解除を行うこともできますので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ③

借主につき破産手続の開始が決定されたことは、民法上は、貸主が賃貸借契約を解除する理由にならない。

 

〇適切です。

民法上では、借主の破産そのものは賃貸借契約の解除理由にはなりません。

破産は借主個人の財政状態に関する問題であり、賃貸借契約自体の債務不履行には該当しないためです。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

貸主につき破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任されると、借主は預け入れている敷金の額まで賃料の支払いを拒むことができる

 

×不適切です。

貸主が破産した場合でも、借主が賃料の支払いを拒むことはできません。

ただし、貸主の破産により、借主が預けている敷金が破産手続を経ることで一部しか返還されないなどの不利益が生じる可能性があります。そのため、借主には敷金を保全するための措置が認められています。具体的には、借主は敷金の保全を目的として、破産管財人に対し、敷金の額まで賃料の寄託を請求することが可能です。

つまり、貸主につき破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任されると、借主は預け入れている敷金の額まで賃料の寄託を請求することができます。(賃料支払い義務がなくなるわけではありません。)よってこの選択肢は不適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢④となります。

 

 

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