今日は、賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度 第13問について解説します。
契約の成立および契約書に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 契約は、申込みに対して相手方が承諾をしたときに成立し、明示的な承諾の意思表示がない限り成立しない。
② 契約書は、契約当事者の権利・義務に関する記載内容に誤りを生じさせないよう、定型的な書面とすべきである。
③ 諾成契約とは、契約の成立に目的物の授受を要する契約であり、賃貸借契約がこれにあたる。
④ 契約当事者は、第三者に対して、契約内容を説明しなければならないことがあり、その場合、契約書は重要である。
解説
契約の成立と契約書に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
契約は、申込みに対して相手方が承諾をしたときに成立し、明示的な承諾の意思表示がない限り成立しない。
×不適切です。
契約は、原則として申込みと承諾の意思表示が合致したときに成立します。
ただし、意思表示の方法は必ずしも明示的(例えば、口頭や書面など)である必要はなく、黙示的な承諾(例えば、商品を受け取った場合など)でも成立する場合があります。
つまり、契約は、申込みに対して相手方が承諾をしたときに成立し、明示的な承諾の意思表示に限らず、黙示的な承諾であっても成立します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
契約書は、契約当事者の権利・義務に関する記載内容に誤りを生じさせないよう、定型的な書面とすべきである。
×不適切です。
契約書は、契約当事者の権利・義務に関する記載内容に誤りを生じさせないよう、契約条件を明確にする必要があります。
必ずしも定型的な書面である必要はなく、個別の契約内容に応じた記載が求められます。
つまり、契約書は、契約当事者の権利・義務に関する記載内容に誤りを生じさせないよう、契約条件が明確な書面とすべきです。(必ずしも定型的な書面である必要はありません)よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
諾成契約とは、契約の成立に目的物の授受を要する契約であり、賃貸借契約がこれにあたる。
×不適切です。
諾成契約は、申込みと承諾の意思表示の合致だけで成立する契約を指します。賃貸借契約は諾成契約であり、目的物の授受を必要としません。
つまり、諾成契約とは、申込みと承諾の意思表示の合致で成立する契約で目的物の授受は不要な契約であり、賃貸借契約がこれにあたります。
選択肢 ④
契約当事者は、第三者に対して、契約内容を説明しなければならないことがあり、その場合、契約書は重要である。
〇適切です。
契約書を作成することは、当事者間の合意内容を明確にするだけでなく、第三者に対して契約内容を説明する必要が生じた際に、有効な手段であると言えます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
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