今日は、宅地建物取引士試験 令和2年度(12月) 第8問について解説します。
令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。
★出題テーマ【権利関係-相続】★
1億2000万円の財産を有するAが死亡した場合の法定相続分についての次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものの組み合わせはどれか。
① ア、ウ
② ア、エ
③ イ、ウ
④ イ、エ
ア Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4000万円である。
イ Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、B及びCがそれぞれ3000万円、Dが6000万円である。
ウ Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4000万円である。
エ Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、E及びFがそれぞれ3000万円、Gが6000万円である。
解説
相続(法定相続分)に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。
×不適切です。
被相続人Aの長男、次男は相続開始前に死亡するなどして相続権を失っているため、その子たちが相続人となるケースです。
この場合は、もともと相続するはずだった長男、次男の子たちが代襲して(代わりに)相続するという考え方になります。
代襲相続は、親の代わりに相続する制度なので、まずは親が本来相続するはずだった分を計算します。
長男、次男それぞれ2分の1になりますので、6,000万円ずつです。
長男の子BとCは、6,000万円を2分の1ずつ相続しますので、BとCの相続分は3,000万円ずつです。
次男の子Dの相続分は6,000万円となります。
つまり、Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、BとCは3,000万円、Dは6,000万円となります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 イ
Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、B及びCがそれぞれ3,000万円、Dが6,000万円である。
〇適切です。
選択肢アで解説した通り、相続人が孫のみの場合、その相続分は、各自が親の代わりに相続する代襲相続になります。
長男の子BとCは、6,000万円を2分の1ずつ相続しますので、BとCの相続分は3,000万円ずつです。
次男の子Dの相続分は6,000万円となります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ウ
Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。
〇適切です。
被相続人Aには相続人となる配偶者も子もいなく、Aの直系尊属(両親や祖父母)が相続人となるケースです。
直系尊属が相続人となる場合、法定相続分は均等となります。
この場合は直系尊属がE、F、Gの3人ですので、3分の1ずつ、それぞれ4,000万円相続します。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 エ
Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、E及びFがそれぞれ3,000万円、Gが6,000万円である。
×不適切です。
選択肢ウで解説した通り、直系尊属が複数いる場合の法定相続分は均等となります。
このケースでは直系尊属がE、F、Gの3人ですので、3分の1ずつ、それぞれ4,000万円相続します。
つまり、Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、E、F、Gそれぞれ4,000万円となります。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正しい選択肢はイとウですので、正解は選択肢③となります。
この問題の論点である「相続」は、賃貸不動産経営管理士試験でも共通の論点となっていますが、賃貸不動産経営管理士試験の過去問に比べると、宅建士試験問題のほうが難易度が若干高めな印象です。
とはいえ、公式テキストには記載がある内容ですので、賃貸不動産経営管理士試験を受ける方もおさえておくとさらに安心できるかと思います。
プラスアルファの実力をつけるのにお役立ていただければと思います。
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