今日は、宅地建物取引士試験 令和2年度(10月) 第26問について解説します。
令和2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置として、受験者分散の目的で10月と12月の2回試験が実施されました。
★出題テーマ【宅建業法-免許】★
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
① 宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)が宅地建物取引業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、A社が消滅した日から30日以内にA社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A社が受けていた免許を承継することができる。
② 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣の免許を受けなければならない。
③ 個人Cが、転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割し、宅地建物取引業者Dに販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する事業を行おうとする場合には、免許を受けなければならない。
④ 宅地建物取引業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。
解説
宅建業の免許に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)が宅地建物取引業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、A社が消滅した日から30日以内にA社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A社が受けていた免許を承継することができる。
×不適切です。
法人が合併により消滅した場合、消滅した法人を代表する役員であった者が、合併の日から30日以内に免許権者に届け出なければなりません。
なお、この場合、合併時に免許が失効しますので、合併した会社が新たに宅建業を営む場合は、免許を受ける必要があります。
つまり、宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)が宅地建物取引業者ではないB社との合併により消滅した場合には、B社は、宅建業を営む場合は新たに免許を受ける必要があります。(A社は、消滅した日から30日以内に甲県知事に届け出なければなりません)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣の免許を受けなければならない。
×不適切です。
宅建業を営むには原則として免許が必要ですが、例外的に免許を受けなくても不動産取引を行うことができる場合があります。
①信託会社(信託業務を兼営する金融機関等)
信託会社は、宅建業を営むことを国土交通省に届出ることで、宅建業者とみなされ、宅建業法の規定が適用されます。
②国・地方公共団体
国や地方公共団体は、宅建業法の規定が適用されません。また、国や地方公共団体と同列に扱われる法人(地方住宅供給公社など)も同様です。
なお、国や地方公共団体から代理や媒介を委任された業者については、原則通り宅建業の免許が必要です。
つまり、信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣に宅建業を営むことを届出なければいけません(免許を受ける必要はありません)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
個人Cが、転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割し、宅地建物取引業者Dに販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する事業を行おうとする場合には、免許を受けなければならない。
〇適切です。
宅建業法上、業として行うとは、社会通念上、事業の遂行とみなされる程度に行う状態を指すものとされています。
取引態様が代理の場合、事業性が低いものとされますが、転売目的で競売により取得した宅地を多数の区画に分割して、不特定多数の者に分譲する事業は、事業性が高いものとされます。
これらの事項を総合的に判断すると、業として行うことに該当しますので、Cは宅建業の免許を受ける必要があります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
宅地建物取引業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。
×不適切です。
1つの都道府県の区域内にのみ事務所を設置する場合は、都道府県知事の免許を受けなければなりません。
事務所を増設する場合でも、現在の免許権者と同一都道府県内であれば免許換えの必要はありません。
つまり、宅地建物取引業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をする必要はなく、乙県知事免許のままで宅建業を営むことができます。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
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