今日は、令和6年度 第3問について解説します。
賃貸住宅管理業法に基づく賃貸住宅の管理受託契約の契約変更に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約について、同法施行後に賃貸住宅管理業者の商号を変更する場合には、改めて賃貸住宅管理業法に定める契約締結時の書面の交付を行う必要がある。
② 賃貸住宅管理業法施行後に締結された管理受託契約について、管理業務の再委託先を変更する場合には、改めて管理受託契約重要事項説明を行う必要がある。
③ 賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約について、同法施行後に法令で定める全ての事項について管理受託契約重要事項説明を行っている場合、その後、報酬の額を変更するときの管理受託契約重要事項説明は、報酬に関する部分について改めて行えば足りる。
④ 賃貸住宅管理業法施行後に締結された管理受託契約について、報酬の額を変更する場合、委託者の承諾がなくても、管理受託契約重要事項説明を行えば、説明の後、直ちに変更契約を締結することができる。
解説
管理受託契約変更契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約について、同法施行後に賃貸住宅管理業者の商号を変更する場合には、改めて賃貸住宅管理業法に定める契約締結時の書面の交付を行う必要がある。
×不適切です
賃貸住宅管理業法の施行前に締結された管理受託契約の場合、管理受託契約締結時の書面の交付を行っていない場合は、管理受託契約変更契約を締結したときに改めて管理受託契約締結時書面の交付を行う必要があります。
ただし、契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号または名称等の変更など、形式的な変更と認められる場合は、契約締結時の書面を改めて交付する必要はありません。
つまり、賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約について、同法施行後に賃貸住宅管理業者の商号を変更する場合には、改めて賃貸住宅管理業法に定める契約締結時の書面の交付を行う必要はありません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
賃貸住宅管理業法施行後に締結された管理受託契約について、管理業務の再委託先を変更する場合には、改めて管理受託契約重要事項説明を行う必要がある。
×不適切です
契約期間中や契約更新時に、重要事項として説明すべき事項を変更しようとするときは、変更のあった事項について、貸主に書面の交付を行ったうえで重要事項説明をする必要があります。
ただし、再委託先の変更は形式的な変更と考えられるため、改めて重要事項説明を実施する必要はありませんが、再委託先が変更する度ごとに書面又は電磁的方法により賃貸人に知らせる必要があります。
つまり、賃貸住宅管理業法施行後に締結された管理受託契約について、管理業務の再委託先を変更する場合には、再委託先が変更する度ごとに書面又は電磁的方法により賃貸人に知らせる必要があります(改めて管理受託契約重要事項説明を行う必要はありません)。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
賃貸住宅管理業法施行前に締結された管理受託契約について、同法施行後に法令で定める全ての事項について管理受託契約重要事項説明を行っている場合、その後、報酬の額を変更するときの管理受託契約重要事項説明は、報酬に関する部分について改めて行えば足りる。
〇適切です。
報酬並びにその支払の時期及び方法については、重要事項として説明すべき事項です。
賃貸住宅管理業法の施行前に締結された管理受託契約であっても、必要な事項全ての管理受託契約重要事項説明場合を行っている場合に報酬の額を変更するときには、法施行後の変更契約と同様に、変更のあった事項について、貸主に書面の交付を行ったうえで重要事項説明をすれば足ります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
賃貸住宅管理業法施行後に締結された管理受託契約について、報酬の額を変更する場合、委託者の承諾がなくても、管理受託契約重要事項説明を行えば、説明の後、直ちに変更契約を締結することができる。
×不適切です
管理受託契約重要事項説明については、貸主が契約内容を十分に理解した上で契約を締結できるよう、説明から契約締結までに1週間程度の期間をおくことが望ましいとされています。
ただし、契約期間中または契約更新時に変更契約を締結しようとするときは、説明を受けるものが承諾した場合に限り、説明から契約締結まで期間をおかないこととして差し支えないとされています。
つまり、賃貸住宅管理業法施行後に締結された管理受託契約について、報酬の額を変更する場合、委託者の承諾がある場合に限り、管理受託契約重要事項説明を行えば、説明の後、直ちに変更契約を締結することができます(委託者の承諾がない場合は、説明から変更契約締結まで1週間程度の期間を置くことが望ましいです)。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
選択肢をじっくり読むと、一つ一つはそこまで難易度が高くないものの、組み合わさることで判断が難しく感じられることがありますね。
令和6年度の試験は、このような出題が散見されます。
このような問題に対応するためには、基本事項の正確な理解が重要です。一緒に頑張っていきましょう。
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