今日は、令和5年度 第43問について解説します。
賃貸不動産経営管理士が行う、賃貸不動産経営を支援する業務に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 賃貸不動産経営管理士が賃貸不動産経営を支援する業務として予算計画書、物件状況報告書や長期修繕計画書を作成した場合には、専門家としての責任の所在を明確にするために文書に記名するとともに、賃貸人に対して口頭で説明することが望ましい。
② 賃貸不動産経営管理士が行う予算管理には、予算計画書や収支報告書の作成があるが、目標とする予算を達成することが難しくなった場合は原因を分析し、収益の向上と費用の削減の観点から対応策を検討し、賃貸人に提言する役割を担うことが期待される。
③ 賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産経営を支援する役割を委託された専門家として、賃料水準の低下や空室期間の長期化の場合においても、賃貸経営の利益の安定や増加のための方策を示すことが求められ、課題と対策を物件状況報告書として賃貸人に提供することが期待される。
④ 賃貸不動産経営管理士は、管理受託している賃貸不動産について、5~10年程度の将来について、いつ、何を、どの程度、どのくらいの費用で修繕するかを示す長期修繕計画を作成して賃貸人に提案することにより、賃貸不動産経営を支援する役割を担うことが期待される。
解説
賃貸不動産経営管理士の支援業務に関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
賃貸不動産経営管理士が賃貸不動産経営を支援する業務として予算計画書、物件状況報告書や長期修繕計画書を作成した場合には、専門家としての責任の所在を明確にするために文書に記名するとともに、賃貸人に対して口頭で説明することが望ましい。
〇適切です。
賃貸不動産経営管理士が賃貸不動産経営を支援する業務として文書の作成を行った場合、専門家としての責任の所在を明確にするために、記名をすることが望ましいとされています。
また、貸主の理解を促すためにも、文書の作成を担当した賃貸不動産経営管理士が自ら、誠実かつ明瞭に口頭で説明を行うことが望ましいとされています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ②
賃貸不動産経営管理士が行う予算管理には、予算計画書や収支報告書の作成があるが、目標とする予算を達成することが難しくなった場合は原因を分析し、収益の向上と費用の削減の観点から対応策を検討し、賃貸人に提言する役割を担うことが期待される。
〇適切です。
賃貸不動産経営管理士が行うべき賃貸不動産経営を支援する業務として、予算管理があります。
予算と実績の差異を把握するだけではなく、予算達成が厳しくなった場合にはその原因を分析して、専門家として収益の向上と費用の削減からの対応策を検討して、貸主に提言していく役割を担うことが期待されています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産経営を支援する役割を委託された専門家として、賃料水準の低下や空室期間の長期化の場合においても、賃貸経営の利益の安定や増加のための方策を示すことが求められ、課題と対策を物件状況報告書として賃貸人に提供することが期待される。
〇適切です。
賃貸不動産経営管理士が行うべき賃貸不動産経営を支援する業務として、物件状況報告書の作成があります。
賃貸不動産経営管理士は、賃料の低下や空室期間の長期化など、賃貸経営の課題に直面した際、賃貸経営の利益の安定や増加のため適切な対応策を、貸主に「改善提案書」という文書の形で提案することが求められます。なお物件情報報告書には、改善提案書も含まれています。
このように、課題と対策を物件状況報告書として賃貸人に提供することが期待されています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
賃貸不動産経営管理士は、管理受託している賃貸不動産について、5~10 年程度の将来について、いつ、何を、どの程度、どのくらいの費用で修繕するかを示す長期修繕計画を作成して賃貸人に提案することにより、賃貸不動産経営を支援する役割を担うことが期待される。
×不適切です
賃貸不動産経営管理士が行うべき賃貸不動産経営を支援する業務として、長期修繕計画の作成と提案があります。
長期修繕計画とは、管理受託している賃貸不動産について、いつ、何を、どの程度、どのくらいの費用で修繕するのか、10~30 年程度の将来についての計画を作成する書面のことです。
つまり、賃貸不動産経営管理士は、管理受託している賃貸不動産について、10~30 年程度の将来について、いつ、何を、どの程度、どのくらいの費用で修繕するかを示す長期修繕計画を作成して賃貸人に提案することにより、賃貸不動産経営を支援する役割を担うことが期待されています。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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