今日は、令和5年度 第31問について解説します。

令和5年度賃貸不動産経営管理士試験 第31

賃貸住宅管理業者の登録に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

① 賃貸人から委託を受けて無償で管理業務を行っている場合、その事業全体において営利性があると認められるときであっても、賃貸住宅管理業者の登録が必要となることはない。

 

② 特定転貸事業者は、200戸以上の特定賃貸借契約を締結している場合であっても、賃貸住宅の維持保全を200戸以上行っていなければ、賃貸住宅管理業者の登録をする義務はない。

 

③ 事業者が100室の事務所及び100戸の賃貸住宅について維持保全を行っている場合、賃貸住宅管理業者の登録をする義務はない。

 

④ 負債の合計額が資産の合計額を超えている場合であっても、直前2年の各事業年度において当期純利益が生じている場合には、賃貸住宅管理業者の登録拒否事由に該当しない。

 

 

 

解説

賃貸住宅管理業者の登録に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢 ①

賃貸人から委託を受けて無償で管理業務を行っている場合、その事業全体において営利性があると認められるときであっても、賃貸住宅管理業者の登録が必要となることはない

 

×不適切です。

賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受ける必要があります。「賃貸住宅管理業を営む」とは、営利の意思を持って反復永続的に賃貸住宅管理業務を行うことです。なお、営利性については、事業スキーム全体で判断されるため、もし無償で管理業務を行っていたとしても、事業全体で「営利性がある」と判断される場合もあります。

 

つまり、賃貸人から委託を受けて無償で管理業務を行っている場合、その事業全体において営利性があると認められるとき、賃貸住宅管理業者の登録が必要となります。よってこの選択肢は不適切です。


 

選択肢 ②

特定転貸事業者は、200戸以上の特定賃貸借契約を締結している場合であっても、賃貸住宅の維持保全を200戸以上行っていなければ、賃貸住宅管理業者の登録をする義務はない。

 

〇適切です。

賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受ける必要があります。

「賃貸住宅管理業」とは、まとめシートでは以下の通り解説しています。

貸主からの委託をうけて管理業務を行う事業が賃貸住宅管理業です。

管理業務とは、まとめシートでは以下の通り解説しています。

管理業務は、貸主から委託を受けて行う維持保全業務と、維持保全業務と併せて行う家賃等の金銭の管理業務のことです。

選択肢の特定転貸事業者は、維持保全業務、つまり管理業務を行っていないので、賃貸住宅管理業を営んでいるわけではありません。ですので、登録の必要はありませんね。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

選択肢 ③

事業者が100室の事務所及び100戸の賃貸住宅について維持保全を行っている場合、賃貸住宅管理業者の登録をする義務はない。

 

〇適切です。

賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受ける必要がありますが、管理する賃貸住宅の戸数が200戸未満である場合は登録を受ける義務はありません。(登録を受けることはできます)

選択肢では事務所100戸と賃貸住宅100戸の計200戸の管理業務を行っていますが、事務所に関しては賃貸住宅に該当しませんので、管理戸数に含まれません。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

選択肢 ④

負債の合計額が資産の合計額を超えている場合であっても、直前2年の各事業年度において当期純利益が生じている場合には、賃貸住宅管理業者の登録拒否事由に該当しない。

 

〇適切です。

賃貸住宅管理業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有さないものは、登録の拒否事由になります。

ただし、負債の合計額が資産の合計額を超えている場合でも、負債の合計額が資産の合計額を超えていないことと同等または同となることが相応に認めらる場合には、財産的基礎を有する状態とみなされます。

例えば、事業年度の直前2年の各事業年度において当期純利益が生じている場合は、財産的基礎を有する状態とみなされます。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

以上から、正解は選択肢①となります。

 

ぜひ賃貸住宅管理業法に関する関連解説もあわせてご確認いただければと思います。

 

 

★関連解説★

賃貸住宅管理業法上の賃貸住宅(R3年 第29問)

賃貸住宅管理業(R4年 第33問)

登録制度(R5年 第29問)

管理業務の意味(R5年 第32問)

 

 

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