今日は、令和4年度 第47問について解説します。
賃貸住宅の入居者の募集に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
①入居希望者が独身の後期高齢者である場合、健康状態の確認のため、病歴を申告する書類の提出を求める必要がある。
②入居希望者の年収と募集賃料とのバランスがとれていないと判断される場合であっても、契約者ではない同居人の年収の申告を求めるべきではない。
③サブリース方式では、特定転貸事業者は借受希望者との交渉を任されている立場に過ぎず、最終的に入居者を決定する立場にはない。
④入居審査のため借受希望者から提出された身元確認書類は、入居を断る場合には、本人に返却する必要がある。
解説
入居者の募集に関する問題です。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢①
「不適切」
病歴を申告する書類の提出は、入居の審査等にあたり、必要とはされていません。独身の高齢者だからといって、通常必要とはされていない書類を提出させることは、不当な差別やプライバシーの侵害にあたるといえます。よって、病歴を申告する書類の提出を求める「必要がある」としているこの選択肢は不適切です。
ちなみに、病歴は個人情報の中でも取扱いに特に配慮を要する「要配慮個人情報」にあたるとされており、安易に聞いていいような情報ではない、ということからも、この選択肢の不適切さが伺えますね。
選択肢②
「不適切」
まとめシートでは、入居審査のポイントについて以下の通り解説しています。
入居審査において、職業、年齢、家族構成、年収が申込物件に見合うものかを検討する必要があります。
一緒に賃料を支払う予定の同居人がいる場合は、入居希望者と同居人、両方あわせた年収と募集賃料とのバランスがとれているかどうかを検討することが考えられます。よって、同居人の年収の「申告を求めるべきではない」という部分について、この選択肢は不適切です。
選択肢③
「不適切」
サブリース方式の場合、入居者との賃貸借(転貸借)契約の当事者となるのは誰でしょうか。
サブリース方式の場合は、特定転貸事業者(サブリース業者)が、貸主(転貸人)として、入居者(転借人)と転貸借契約を締結しますね。つまり特定転貸事業者は、契約当事者であり、貸主です。
サブリース方式の場合は、入居審査の最終決定は貸主である特定転貸事業者が判断するものとなりますので、この選択肢は不適切です。
ちなみに、管理受託方式で管理業務を委託されている管理業者であれば、選択肢のように「借受希望者との交渉を任されている立場に過ぎない」という説明は適切ですね。
選択肢④
「適切」
まとめシートでは以下のように解説しています。
入居を断る場合は入居申込書類を速やかに返却します。
身元確認書類は、入居申込書類のうちのひとつですね。これは本人に返却する必要がありますので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢④となります。
さてこの問題の解説と一緒に、入居者の募集にあたっての前提をおさえておきましょう。
まとめシートでは、以下のように解説しています。
原則として、募集にあたっては宅建業の免許が必要です。
宅建業の免許を持たない管理業者は、外部の宅建業者に委託して募集をするという方法があります。
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