今日は、令和4年度 第46問について解説します。

令和4年度賃貸不動産経営管理士試験 第46

賃貸不動産経営管理士に求められるコンプライアンスに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

 

① 日頃から人権問題に関心を持ち、人権意識を醸成して自らの専門性を発揮するとともに、貸主に対しては差別が許されないことを十分に理解してもらい、自社の他の従業員に対して積極的に指導を行うなどして、賃貸住宅管理業界全体の社会的役割の実現と人権意識の向上に努めるべきである。

 

② 賃貸不動産経営管理士は、関係する法令やルールを遵守することはもとより、賃貸住宅管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為や社会通念上好ましくない行為をしてはならないが、情報化社会の進展を背景として、自らの能力や知識を超える業務を引き受けることも認められる。

 

③ 管理業者が、貸主からの委託を受けて行う管理業務は法律的には代理業務にあたることから、管理業者はもとより賃貸不動産経営管理士も当事者間で利益が相反するおそれに留意する必要がある。

 

④ 所属する管理業者から、賃貸不動産経営管理士としてのコンプライアンスに基づけば選択するべきではない管理業務の手法を要請された場合、その非を正確な法令知識等に基づいて指摘するなど、高度の倫理観に基づき業務を行うべきである。

 

 

 

解説

賃貸不動産経営管理士にもとめられるコンプライアンスに関する問題です。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢 ①

日頃から人権問題に関心を持ち、人権意識を醸成して自らの専門性を発揮するとともに、貸主に対しては差別が許されないことを十分に理解してもらい、自社の他の従業員に対して積極的に指導を行うなどして、賃貸住宅管理業界全体の社会的役割の実現と人権意識の向上に努めるべきである。

 

〇適切です。

事業を営むうえで、基本的人権の尊重はコンプライアンスの基盤となるものです。賃貸不動産経営管理士として、人権問題に関心を持ち、人権意識を向上させていくことは大切です。

また、賃貸不動産経営管理士は住生活の向上に寄与する役割を担っていることから、自分だけではなく、貸主や他の従業員に対しても人権意識の向上に働きかけるべきであるといえるでしょう。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

選択肢 ②

賃貸不動産経営管理士は、関係する法令やルールを遵守することはもとより、賃貸住宅管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為や社会通念上好ましくない行為をしてはならないが情報化社会の進展を背景として、自らの能力や知識を超える業務を引き受けることも認められる

 

×不適切です。

この選択肢の内容は、「賃貸不動産経営管理士倫理憲章」に基づいています。

選択肢の前半部分の内容は「法令の遵守と信用保持」についてですが、まとめシートでは以下の通り解説しています。

賃貸不動産経営管理士は関係する法令とルールを遵守し、賃貸不動産管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為、および社会通念上好ましくないと思われる行為を厳に慎むべきとされています。

一方で、能力を超える業務の引受に関しては、

賃貸不動産経営管理士は、自らの能力や知識を超える業務の引受は行ってはいけないとされています。

つまり、賃貸不動産経営管理士は、関係する法令やルールを遵守することはもとより、賃貸住宅管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為や社会通念上好ましくない行為をしてはならず自らの能力や知識を超える業務を引き受けることは認められれません。よってこの選択肢は不適切です。


 

選択肢 ③

管理業者が、貸主からの委託を受けて行う管理業務は法律的には代理業務にあたることから、管理業者はもとより賃貸不動産経営管理士も当事者間で利益が相反するおそれに留意する必要がある。

 

〇適切です。

管理業者が貸主から委託を受けて行う管理業務は、貸主を代理して行う業務も含まれます。利益相反というのは、一方が利益を得るときに、もう一方は不利益を得ることですが、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権がない人が行った行為とみなされます。(民法第108条)

管理業者や賃貸不動産経営管理士が行った管理業務によって、貸主に不利益が生じるようなことにならないように、留意する必要がありますね。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

選択肢 ④

所属する管理業者から、賃貸不動産経営管理士としてのコンプライアンスに基づけば選択するべきではない管理業務の手法を要請された場合、その非を正確な法令知識等に基づいて指摘するなど、高度の倫理観に基づき業務を行うべきである。

 

〇適切です。

賃貸不動産経営管理士は、高度の倫理観に基づいて、それを独立したポジションで果たす役割が求められています。

たとえ貸主や所属する会社から、コンプライアンス上やるべきではないことを指示されたとしても、コンプライアンスに従った対応をすべきであることを指摘することが必要ですね。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。


 

以上から、正解は選択肢②となります。

 

 

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