今日は、令和4年度 第42問について解説します。
個人情報の保護に関する法律(以下、本問において「個人情報保護法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア 個人情報取扱事業者が個人情報を取得する場合は、利用目的をできる限り特定して通知又は公表する必要があるが、要配慮個人情報でない限り、本人の同意を得る必要はない。
イ 個人情報取扱事業者が、個人データを漏えいした場合、不正アクセスによる場合であっても、本人の数が1000人を超える漏えいでない限り、個人情報保護委員会に報告する義務はない。
ウ 個人情報取扱事業者が委託先に個人データを提供することは、それが利用目的の達成に必要な範囲内であっても、個人データの第三者提供に該当するため、本人の同意を得る必要がある。
エ 取り扱う個人情報の数が5000人分以下である事業者であっても、個人情報データベース等を事業の用に供している者には、個人情報保護法による規制が適用される。
1 ア、ウ
2 ア、エ
3 イ、ウ
4 イ、エ
解説
個人情報保護法に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
個人情報取扱事業者が個人情報を取得する場合は、利用目的をできる限り特定して通知又は公表する必要があるが、要配慮個人情報でない限り、本人の同意を得る必要はない。
〇適切です。
個人情報保護法に基づく、個人情報の取得時の制限について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
個人情報を取得した場合、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、すみやかに利用目的を本人に通知、または公表しなくてはならないとされており、また、利用目的はできる限り特定する必要があるとされています。取得にあたり本人の同意が必要とはされていません。
ただし、要配慮個人情報について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
要配慮個人情報は、本人に対する不当な差別や偏見などが生じないよう取扱いに特に配慮を要するものです。要配慮個人情報は本人の同意を得て取得することが義務付けられています。
よってこの選択肢は適切です。
選択肢 イ
個人情報取扱事業者が、個人データを漏えいした場合、不正アクセスによる場合であっても、本人の数が1000人を超える漏えいでない限り、個人情報保護委員会に報告する義務はない。
×不適切です。
個人情報保護委員会に報告が必要になる事案について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
個人情報が漏洩し、漏洩した個人情報に要配慮個人情報が含まれる場合、財産的被害が生じる恐れがある場合、不正の目的をもって情報漏洩が行われた場合、1000人を超える個人情報が漏洩した場合は、個人情報保護委員会に報告が必要です。
つまり、個人情報取扱事業者が、個人データを漏えいした場合、不正アクセスによる場合である場合は、本人の数が1000人を超えない漏えいであっても、個人情報保護委員会に報告する義務があります。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
個人情報取扱事業者が委託先に個人データを提供することは、それが利用目的の達成に必要な範囲内であっても、個人データの第三者提供に該当するため、本人の同意を得る必要がある。
×不適切です。
個人データの第三者提供について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
個人データは、原則としてあらかじめ本人の同意を得ずに、第三者へ提供してはいけません。ただし、個人データの提供が利用目的達成に必要な範囲内で行う委託先への提供の場合や合併などの事業継承による場合、共同利用の場合は、第三者提供には含まれません。
つまり、個人情報取扱事業者が委託先に個人データを提供することは、それが利用目的の達成に必要な範囲内であれば、個人データの第三者提供に該当しないので、本人の同意を得る必要はないものとされています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 エ
取り扱う個人情報の数が5000人分以下である事業者であっても、個人情報データベース等を事業の用に供している者には、個人情報保護法による規制が適用される。
〇適切です。
個人情報保護法上の規制が適用される個人情報取扱事業者について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
個人情報取扱事業者取扱事業者とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者のことをいい、その取り扱う数は問いません。よってこの選択肢は適切です。
改正前の個人情報保護法においては、取り扱う個人情報の数が5000以下の場合は個人情報取扱事業者とはされていなかったことと混同しないようにしたいですね。
以上から、誤っている選択肢はイとウですので、正解は選択肢③となります。
個人情報法に関する問題は、令和5年度には出題されなかったものの、しばしば取り上げられるテーマです。
ぜひこの機会に理解を深めていただければと思います。
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