今日は、令和4年度 第37問について解説します。
管理業法上の業務状況調書や貸借対照表、損益計算書又はこれらに代わる書面(以下、本問において「業務状況調書等」と総称する。)の閲覧に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
① 特定賃貸借契約の勧誘者は、業務状況調書等の書類を作成・保存し、その勧誘によって特定賃貸借契約を結んだ賃貸人からの求めがあれば、これらを閲覧させなければならない。
② 特定転貸事業者が、業務状況調書等を電磁的方法による記録で保存する場合には、電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示される状態に置かなければならない。
③ 特定転貸事業者は、業務状況調書等の書類を、事業年度ごとに、その事業年度経過後3か月以内に作成し、主たる事務所にまとめて備え置かなければならない。
④ 特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の相手方及び入居者(転借人)からの求めがあれば、営業所又は事務所の営業時間中、業務状況調書等の書類を閲覧させなければならない。
解説
特定転貸事業者が守るべき、書類の閲覧についての規制に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢①
特定賃貸借契約の勧誘者は、業務状況調書等の書類を作成・保存し、その勧誘によって特定賃貸借契約を結んだ賃貸人からの求めがあれば、これらを閲覧させなければならない。
×不適切です。
特定転貸事業者は、業務状況調書を記録した書類等を据え置き、契約の相手方または相手方になろうとする者の求めに応じて閲覧させないといけません。一方で、勧誘者に対してはそのような規制はありません。
つまり、特定転貸事業者は、業務状況調書等の書類を作成・保存し、その勧誘によって特定賃貸借契約を結んだ賃貸人からの求めがあれば、これらを閲覧させなければなりません。なお、特定賃貸借契約の勧誘者については、そのような義務はありません。
選択肢②
特定転貸事業者が、業務状況調書等を電磁的方法による記録で保存する場合には、電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示される状態に置かなければならない。
〇適切です。
業務状況調書等は、電磁的記録によって保存することができますが、その場合は明確に紙面に表示できる状態に置かれている必要があるとされています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢③
特定転貸事業者は、業務状況調書等の書類を、事業年度ごとに、その事業年度経過後3か月以内に作成し、主たる事務所にまとめて備え置かなければならない。
×不適切です。
業務状況調書等は、事業年度ごとに、当該事業年度経過後3カ月以内に作成し、遅滞なく各事務所等に据え置く必要があります。主たる事務所にまとめて置くこととはされていません。
つまり、特定転貸事業者は、業務状況調書等の書類を、事業年度ごとに、その事業年度経過後3か月以内に作成し、各事務所等ごとに備え置かなければなりません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢④
特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の相手方及び入居者(転借人)からの求めがあれば、営業所又は事務所の営業時間中、業務状況調書等の書類を閲覧させなければならない。
×不適切です。
特定転貸事業者は、業務状況調書を記録した書類等を据え置き、契約の相手方または相手方になろうとする者の求めに応じて閲覧させないといけません。入居者からの求めに応じて閲覧させなければいけないとはされていません。
つまり、特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の相手方及び相手方となろうとする者からの求めがあれば、営業所又は事務所の営業時間中、業務状況調書等の書類を閲覧させなければなりません。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢②となります。
***基本事項を確認しましょう***
賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅管理業者はもちろんですが、特定転貸事業者も守るべき規律として定められています。
特定転貸事業者に対する規制は、
①誇大広告等の禁止(法第28条)
②不当な勧誘等の禁止(法第29条)
③契約締結前における契約内容の説明及び書面交付(法第30条)
④契約締結時における書面交付(法第31条)
⑤書類の閲覧(法第32条)
です。
また、①誇大広告等の禁止②不当な勧誘等の禁止については、勧誘者もその規制の対象となります。
ご確認いただき、賃貸住宅管理業者に対する規制、特定転貸事業者に対する規制、勧誘者に対する規制について、整理するのにお役立ていただければと思います。
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