今日は、令和4年度 第28問について解説します。
令和4年5月1日に締結された建物賃貸借契約と建物使用貸借契約に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 建物賃貸借契約の期間が満了した場合、同契約が法定更新されることはあるが、建物使用貸借契約の期間が満了しても、同契約が法定更新されることはない。
イ 建物賃貸借では建物の引渡しが契約の成立要件となるが、建物使用貸借は合意のみで契約が成立する。
ウ 期間10 年の建物賃貸借契約は有効だが、期間 10年の建物使用貸借契約は無効である。
エ 契約に特段の定めがない場合、建物賃貸借契約における必要費は貸主が負担し、建物使用貸借契約における必要費は借主が負担する。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
解説
建物賃貸借と、使用貸借に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
建物賃貸借契約の期間が満了した場合、同契約が法定更新されることはあるが、建物使用貸借契約の期間が満了しても、同契約が法定更新されることはない。
〇適切です。
賃貸借契約と使用貸借契約の違い(期間満了時)について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
建物賃貸借契約は、借地借家法の定めに基づき、自動的に更新されることがあります(法定更新)。一方使用貸借契約は、借地借家法の適用はありませんので、法定更新されることがありません。期間が満了した場合は使用貸借契約は終了となります。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 イ
建物賃貸借では建物の引渡しが契約の成立要件となるが、建物使用貸借は合意のみで契約が成立する。
×不適切です。
建物賃貸借契約も使用貸借契約も、貸主と借主の意思の合致によって契約が成立します(諾成契約)。
つまり、建物賃貸借と建物使用貸借は合意のみで契約が成立します。(なお、建物賃貸借契約の場合は、建物の引渡しが第三者への賃借権の対抗要件となります。)よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
期間 10 年の建物賃貸借契約は有効だが、期間 10 年の建物使用貸借契約は無効である。
×不適切です。
賃貸借契約と使用貸借契約の違い(期間の定め)について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
建物賃貸借契約は、契約期間の上限はなく、下限は1年です。一方、使用貸借契約は契約期間の上限も下限もありません。
つまり、期間 10 年の建物賃貸借契約と建物使用貸借契約は、ともに有効です。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 エ
契約に特段の定めがない場合、建物賃貸借契約における必要費は貸主が負担し、建物使用貸借契約における必要費は借主が負担する。
〇適切です。
賃貸借契約と使用貸借契約の違い(貸主の義務)について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
原則として、建物賃貸借契約の場合は、必要費は貸主が負担しますが、使用貸借契約の場合は、必要費は借主が負担します。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正しい選択肢はアとエの2つですので、正解は選択肢② となります。
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