今日は、令和4年度 第27問について解説します。
Aを貸主、Bを借主として令和4年5月1日に締結された期間1 年の建物賃貸借契約において、CはBから委託を受けてAと連帯保証契約を同日締結した。この事案に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア AB間の建物賃貸借契約が法定更新されると、AC間の保証契約も法定更新される。
イ Aは極度額の記載のない連帯保証契約書を持参してCと面会し、口頭で極度額について合意した上、Cの署名押印を得た。この場合も連帯保証契約は効力を生じる。
ウ Cが、Aに対して、Bの賃料その他の債務について、不履行の有無、利息、違約金、損害賠償などの額について情報提供を求めた場合、Aは個人情報保護を理由に情報提供を拒むことはできない。
エ Bが死亡すると、連帯保証契約の元本は確定する。
1 ア、イ
2 イ、ウ
3 ウ、エ
4 ア、エ
解説
保証契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ア
AB間の建物賃貸借契約が法定更新されると、AC間の保証契約も法定更新される。
×不適切です。
賃貸借の保証契約について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
法定更新とは、借地借家法の定めに基づき、自動的に更新されることです。
保証契約については、借地借家法の適用はありませんので、法定更新されることはありません。
なお、法定更新された場合、原則として保証人の責任は同様に継続するものとされています。
つまり、AB間の建物賃貸借契約が法定更新されると、AC間の保証契約は原則として従前と同様に継続します。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 イ
Aは極度額の記載のない連帯保証契約書を持参してCと面会し、口頭で極度額について合意した上、Cの署名押印を得た。この場合も連帯保証契約は効力を生じる。
×不適切です。
賃貸借契約の保証については、契約の段階では保証する金額が決まっていないので、一定範囲の債務を保証するという根保証契約契約となります。
連帯保証人Cが、個人か法人かは明確に書かれていませんが、文脈からCは個人であるものと考えられます。
個人根保証契約について、まとめシートでは以下の通り解説しています。
個人根保証契約では、事前に保証する上限額である極度額を設定します。また、個人根保証契約は書面や電磁的記録で行う必要があります。
書面(または電磁的記録)で極度額を定めない場合は、根保証契約は無効です。
つまり、Aは極度額の記載のない連帯保証契約書を持参してCと面会し、口頭で極度額について合意した上、Cの署名押印を得た。この場合は連帯保証契約は効力を生じません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ウ
Cが、Aに対して、Bの賃料その他の債務について、不履行の有無、利息、違約金、損害賠償などの額について情報提供を求めた場合、Aは個人情報保護を理由に情報提供を拒むことはできない。
〇適切です。
保証人保護の観点から、債権者は保証人の請求があれば、主たる債務の元本および主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償、不履行の有無などに関する情報を提供しなければいけません。
これは民法に定められている義務ですので、情報提供を拒むことはできません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 エ
Bが死亡すると、連帯保証契約の元本は確定する。
〇適切です。
個人根保証契約の元本が確定するのは、以下のときです。
①債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
②保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
③主たる債務者又は保証人が死亡したとき。
債務者である借主Bの死亡は、元本確定事由です。
よってこの選択肢は適切です。
以上から、誤っている選択肢はウとエですので、正解は選択肢③となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
★関連解説★
好評発売中の「一発合格まとめシート」は、ここから立ち読みできますので、ぜひ試してみてくださいね。
2024年度版 一発合格まとめシート
好評発売中!