今日は、令和3年度 第34問について解説します。

令和3年度賃貸不動産経営管理士試験 第34

特定賃貸借標準契約書に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。ただし、特約はないものとする。

 

① 特定賃貸借標準契約書では、借主が賃貸住宅の維持保全をするに当たり、特定賃貸借契約締結時に貸主から借主に対し必要な情報の提供がなかったことにより借主に損害が生じた場合には、その損害につき貸主に負担を求めることができるとされている。

 

② 特定賃貸借標準契約書では、貸主が賃貸住宅の修繕を行う場合は、貸主はあらかじめ自らその旨を転借人に通知しなければならないとされている。

 

③ 特定賃貸借標準契約書では、賃貸住宅の修繕に係る費用については、借主又は転借人の責めに帰すべき事由によって必要となったもの以外であっても、貸主に請求できないものがあるとされている。

 

④ 特定賃貸借標準契約書では、借主が行う賃貸住宅の維持保全の内容及び借主の連絡先については、転借人に対し、書面又は電磁的方法による通知をしなければならないとされている。

 

 

 

解説

特定賃貸借標準契約書に関する問題です。

 

特定賃貸借標準契約書は、特定賃貸借契約のひな形として、国土交通省が作成・提供しているものです。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


選択肢 ①

特定賃貸借標準契約書では、借主が賃貸住宅の維持保全をするに当たり、特定賃貸借契約締結時に貸主から借主に対し必要な情報の提供がなかったことにより借主に損害が生じた場合には、その損害につき貸主に負担を求めることができる。

 

〇適切です。

特定賃貸借標準契約書の主な内容(引渡し)について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

貸主は、引渡日までに物件を引渡すこととされています。

また、借主が物件の適切な維持保全を行うために必要な情報を提供することとされており、もしこの情報提供がなされなかった結果借主に損害が生じた場合、貸主がその損害を負担することとされています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ②

特定賃貸借標準契約書では、貸主が賃貸住宅の修繕を行う場合は、貸主はあらかじめ自らその旨を転借人に通知しなければならない。

 

×不適切です。

特定賃貸借標準契約書の主な内容(維持保全に要する費用の分担)について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

貸主が修繕を行う場合、あらかじめ借主を通じて、その旨を転借人に通知するものとされています。

修繕に関する通知は貸主が直接転借人に通知するのではなく、借主を通じて通知することが求められていますね。

つまり、特定賃貸借標準契約書では、貸主が賃貸住宅の修繕を行う場合は、貸主はあらかじめ借主を通じてその旨を転借人に通知しなければなりません。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ③

特定賃貸借標準契約書では、賃貸住宅の修繕に係る費用については、借主又は転借人の責めに帰すべき事由によって必要となったもの以外であっても、貸主に請求できないものがある。

 

〇適切です。

この選択肢は、「借主や転借人の過失などで修繕が必要になった場合以外でも、修繕費用を貸主に請求できない場合がある」ということを記載しています。

ざっくり言うと、「自分たちが悪くなくても、その修繕のお金を自分で払うの?」ということですね。

 

特定賃貸借標準契約書の主な内容(維持保全に要する費用の分担)について、もう一度まとめシートの解説を確認しましょう。

物件の点検や清掃等にかかる費用は、契約で定められた通りに、貸主または借主が負担します。

修繕費用に関しても、契約で定められた範囲と、借主の過失により必要となった修繕費用は借主が負担し、それ以外の修繕費用は貸主が負担することになっています。

一般的な建物賃貸借契約であれば、借主の過失などにより生じた修繕費用は借主が負担し、それ以外の修繕費用は貸主が負担するのが原則です。

しかし、特定賃貸借契約標準契約書では、借主(または転借人)の過失などによる修繕だけでなく、契約で定められた借主負担部分についても、借主が修繕費用を負担することが求められます。したがって、契約内容に応じて、貸主に請求できない修繕費用があるということです。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

特定賃貸借標準契約書では、借主が行う賃貸住宅の維持保全の内容及び借主の連絡先については、転借人に対し、書面又は電磁的方法による通知をしなければならない。

 

〇適切です。

特定賃貸借標準契約書の主な内容(転借人に対する周知)について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

借主が行う維持保全に関する情報や借主の連絡先については、書面または電磁的方法で転借人に通知するとされています。

きちんと教えてもらえれば、転借人は賃貸物件の維持保全状況や借主への連絡方法を確実に把握でき、適切に対応できるようになりますね。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢②となります。

 

この問題は基本的なレベルの内容ではありますが、

選択肢②の「自ら」という文字を見逃してしまうと、もしかしたら③かな?と迷ってしまうかもしれませんね。

③は少しわかりづらい記載のように感じますが、そんな時はぜひ落ち着いて読み返してみてくださいね。

 

 

ぜひ関連解説もあわせてご確認いただき、理解を深めていただければと思います。

 

★関連解説★

特定賃貸借標準契約書(R3年 第33問)

特定賃貸借標準契約書(R4年 第41問)

特定賃貸借標準契約書(R5年 第39問)

 

 

 

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