今日は、令和3年度 第48問について解説します。
賃貸住宅に係る新たな政策課題に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 賃貸不動産経営管理士は、所属する賃貸住宅管理業者の積極的な指示がある場合に限り、重要な政策課題や新しい賃貸住宅の活用のあり方について制度設計を進め、実際の業務の管理及び監督や実施を担う等により、課題解決に関与する。
② 賃貸不動産経営管理士が有する賃貸借契約や賃貸不動産管理に関する専門性は、住宅宿泊事業で必要となる専門性と親和性があることから、賃貸不動産経営管理士は、住宅宿泊事業における専門家としての役割を担う資質と能力を有している。
③ 賃貸不動産経営管理士は、空き家所有者に対し賃貸借に係る情報、入居者の募集、賃貸住宅の管理の引受けについて助言や提言をすることにより、空き家所有者が安心して賃貸不動産経営に参画できる環境を整備し、空き家問題の解決のために役割を果たすことが期待される。
④ 賃貸不動産経営管理士は、住宅扶助費の代理納付制度や残置物の処理に係る契約上の取扱い等を貸主に説明することを通じ、住宅確保要配慮者が安心して暮らせる賃貸住宅の提供のための役割を果たすことが期待される。
解説
賃貸不動産経営管理士の役割に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
賃貸不動産経営管理士は、所属する賃貸住宅管理業者の積極的な指示がある場合に限り、重要な政策課題や新しい賃貸住宅の活用のあり方について制度設計を進め、実際の業務の管理及び監督や実施を担う等により、課題解決に関与する。
×不適切です。
賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産経営や管理の専門家として、賃貸不動産に関する政策課題や活用について、制度設計その他さまざまな手続きに関与することが必要だと考えられています。
また、実際の業務について管理・監督または実施を担うなど、課題の解決に向けて積極的に関与することが期待されています。これは所属する賃貸住宅管理業者の指示がある場合に限ってのことではありません。
つまり、賃貸不動産経営管理士は、所属する賃貸住宅管理業者の積極的な指示の有無にかかわらず、重要な政策課題や新しい賃貸住宅の活用のあり方について制度設計を進め、実際の業務の管理及び監督や実施を担う等により、課題解決に関与することが期待されています。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
賃貸不動産経営管理士が有する賃貸借契約や賃貸不動産管理に関する専門性は、住宅宿泊事業で必要となる専門性と親和性があることから、賃貸不動産経営管理士は、住宅宿泊事業における専門家としての役割を担う資質と能力を有している。
〇適切です。
賃貸不動産経営管理士は、住宅宿泊事業等が求める専門性と親和性があります。このことから、賃貸不動産経営管理士は民泊や住宅管理業を適切に運営などに寄与することが期待されています。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ③
賃貸不動産経営管理士は、空き家所有者に対し賃貸借に係る情報、入居者の募集、賃貸住宅の管理の引受けについて助言や提言をすることにより、空き家所有者が安心して賃貸不動産経営に参画できる環境を整備し、空き家問題の解決のために役割を果たすことが期待される。
〇適切です。
空き家の対処としては、大きく「撤去」と「有効活用」があります。空き家の賃貸化は、有効活用する場合の有力な選択肢です。
空き家を賃貸化するにあたっては、様々な対応が必要となりますので、賃貸住宅経営・管理の専門家として、賃貸不動産経営管理士の積極的な関与が求められているところです。
具体的には、空き家所有者に対する有効活用の助言、賃貸借に係る情報やノウハウの提供、入居者の募集、賃貸管理の引受けなどの助言をとおして、空き家所有者が安心して賃貸不動産経営に参画できる環境の整備をすることなどです。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
賃貸不動産経営管理士は、住宅扶助費の代理納付制度や残置物の処理に係る契約上の取扱い等を貸主に説明することを通じ、住宅確保要配慮者が安心して暮らせる賃貸住宅の提供のための役割を果たすことが期待される。
〇適切です。
住宅確保要配慮者への適切な賃貸住宅提供を推進することを目的とした、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」いわゆる「住宅セーフティーネット法」が制定されています。
賃貸不動産経営管理士は、この法律の趣旨や理念をふまえて、貸主の不安を払しょくして積極的に賃貸借がなされるように働きかける役割があります。
具体的には、住宅セーフティー法には、住宅扶助費の代理納付制度や残置物の取扱いに係る契約上の取扱いなどが定められていますが、これらについて貸主に説明して、理解を求めるなどといった対応が考えられます。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
以上から、正解は選択肢①となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
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