今日は、令和3年度 第24問について解説します。
Aを貸主、Bを借主とする建物賃貸借契約においてBが死亡した場合に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実及び特約はないものとする。
① Bの内縁の妻Cは、Bとともに賃貸住宅に居住してきたが、Bの死亡後(B には相続人が存在するものとする。)、Aから明渡しを求められた場合、明渡しを拒むことができない。
② Bの内縁の妻Cは、Bとともに賃貸住宅に居住してきたが、Bの死亡後(B には相続人が存在しないものとする。)、Aから明渡しを求められた場合、明渡しを拒むことができない。
③ Aが地方公共団体の場合で、賃貸住宅が公営住宅(公営住宅法第2条第2 号)であるときに、Bが死亡しても、その相続人は当然に使用権を相続によって承継することにはならない。
④ Bが死亡し、相続人がいない場合、賃借権は当然に消滅する。
解説
賃貸借契約における借主の死亡時に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
Bの内縁の妻Cは、Bとともに賃貸住宅に居住してきたが、Bの死亡後(B には相続人が存在するものとする。)、Aから明渡しを求められた場合、明渡しを拒むことができない。
×不適切です。
貸主・借主の死亡時の扱いについて、まとめシートでは以下の通り解説しています。
借主Bが死亡した場合、同居していた内縁の妻Cは、Bの相続人が承継する借主の地位を援用することができます。
つまり、Bの内縁の妻Cは、Bとともに賃貸住宅に居住してきたが、Bの死亡後(B には相続人が存在するものとする。)、Aから明渡しを求められた場合、明渡しを拒むことができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
Bの内縁の妻Cは、Bとともに賃貸住宅に居住してきたが、Bの死亡後(B には相続人が存在しないものとする。)、Aから明渡しを求められた場合、明渡しを拒むことができない。
×不適切です。
貸主・借主の死亡時の扱いについて、もう一度まとめシートの解説を確認しましょう。
借主Bが死亡した場合、同居していた内縁の妻Cは、賃貸借契約を承継することができます。
つまり、Bの内縁の妻Cは、Bとともに賃貸住宅に居住してきたが、Bの死亡後(B には相続人が存在しないものとする。)、Aから明渡しを求められた場合、明渡しを拒むことができます。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
Aが地方公共団体の場合で、賃貸住宅が公営住宅(公営住宅法第2条第2 号)であるときに、Bが死亡しても、その相続人は当然に使用権を相続によって承継することにはならない。
〇適切です。
公営住宅においては、使用者が死亡した場合、使用者に相続人がいても、当然に相続によって使用権を承継するということにはなりません。
これは公営住宅が、住宅に困窮する低所得者に対して、低廉な家賃の賃貸住宅を供給するということを目的としている公的賃貸住宅であるという性質を持っているからです。相続人に公営住宅に入居する資格がなければ、使用することはできませんよね。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
なお、相続人などの同居人が使用を継続するには、事業主体の承認を得ることが必要です。
選択肢 ④
Bが死亡し、相続人がいない場合、賃借権は当然に消滅する。
×不適切です。
貸主・借主の死亡時の扱いについて、まとめシートでは以下の通り解説しています。
ポイントは、
貸主・借主が死亡した場合、相続人の有無にかかわらず契約が終了するわけではありません。
民法上は、相続人がいない場合には、賃借権のような相続財産は相続財産法人となり、清算人が選出され、財産を管理することになります。
つまり、Bが死亡し、相続人がいない場合であっても、賃借権は当然に消滅することはありません。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
ぜひ関連解説もあわせてご確認いただければと思います。
★関連解説★
一発合格まとめシートまとめシートは、ここから立ち読みできますので、ぜひ試してみてくださいね。
2024年度版 一発合格まとめシート
好評発売中!