今日は、賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度 第19問について解説します。
定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
① 借主が死亡したときに契約が終了する旨の定めは、有効である。
② 契約期間が1年未満の定期建物賃貸借契約は、無効である。
③ 平成12年3月1日より前に締結された居住用建物の賃貸借契約については、契約当事者がこれを合意解約して、新たに定期建物賃貸借契約を締結することは認められていない。
④ 床面積300㎡未満の居住用建物については、借主が転勤、療養、親族の介護等やむを得ない事情により、建物を生活の本拠として使用することが困難となった場合には、中途解約特約がなくとも、借主は中途解約を申入れることができる。
解説
定期建物賃貸借契約に関する問題です。
それではさっそく選択肢をみていきましょう。
選択肢 ①
借主が死亡したときに契約が終了する旨の定めは、有効である。
×不適切です。
建物賃貸借契約は、原則として貸主や借主の死亡によって終了するものではありません。
借主が死亡した場合には、相続人が賃借権を相続します。借主が死亡したときに契約が終了するという定めは、借主にとって不利になりますので、無効となります。
つまり、借主が死亡したときに契約が終了する旨の定めは、無効となります。よってこの選択肢は不適切です。
ちなみに、定期建物賃貸借契約では、必ず契約期間を定めます。
この選択肢では、「契約期間中に借主が死亡したときに契約が終了するのは有効か」ということを問うていると考えられますが、借主が死亡したときに終了する賃貸借契約は、終身建物賃貸借契約のことです。
選択肢 ②
契約期間が1年未満の定期建物賃貸借契約は、無効である。
×不適切です。
定期建物賃貸借契約は、契約期間の下限がないため、契約期間を1年未満とすることも可能です。
つまり、契約期間が1年未満の定期建物賃貸借契約は、有効です。よってこの選択肢は不適切です。
ちなみに、普通賃貸借契約の場合は、契約期間を1年未満にした場合は期間の定めのない賃貸借契約となります。
あわせておさえておきたいですね。
選択肢 ③
平成12年3月1日より前に締結された居住用建物の賃貸借契約については、契約当事者がこれを合意解約して、新たに定期建物賃貸借契約を締結することは認められていない。
〇適切です。
定期建物賃貸借の制度が施行された、平成12年3月1日より前に締結された居住用建物の賃貸借契約については、これを終了して新たに定期建物賃貸借契約を締結することはできません。
選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
床面積300㎡未満の居住用建物については、借主が転勤、療養、親族の介護等やむを得ない事情により、建物を生活の本拠として使用することが困難となった場合には、中途解約特約がなくとも、借主は中途解約を申入れることができる。
×不適切です。
定期建物賃貸借契約は、原則として中途解約ができませんが、200㎡未満の居住用建物であれば、借主が転勤や療養、親族の介護などやむを得ない事情により、建物を自己の生活の本拠として使用することが困難になった場合、中途解約特約がなかったとしても、借主は解約を申入れることができます。
なお、この場合は解約を申入れてから1か月を経過することによって賃貸借契約は終了します。
つまり、
床面積200㎡未満の居住用建物については、借主が転勤、療養、親族の介護等やむを得ない事情により、建物を生活の本拠として使用することが困難となった場合には、中途解約特約がなくとも、借主は中途解約を申入れることができます。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
ぜひ関連解説も確認しながら、理解を深めていただければと思います。
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