【過去問解説(財務・会計)】R5(再試)第21問 オプション取引

今日は、財務・会計R5(再試)第21問について解説します。

 財務・会計 R5(再試) 第21問

現在の原資産価格が500円であるときのオプション価値に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 行使価格が500円のコールオプションはアット・ザ・マネーの状態にあり、オプションの本質的価値は80円である。

イ 行使価格が520円のコールオプションはイン・ザ・マネーの状態にあり、オプションの本質的価値は20円である。

ウ 行使価格が580円のプットオプションはイン・ザ・マネーの状態にあり、オプションの本質的価値は80円である。

エ 行使価格が620円のプットオプションはアウト・オブ・ザ・マネーの状態にあり、オプションの本質的価値は―120円である。

解説

オプション取引に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

コールオプションは、ある資産を将来の特定の期日に特定の価格で買うことができる権利で、権利の購入代金であるオプションプレミアムを支払うことで、将来ある資産が権利行使価格より値上がりした場合でも、権利行使価格で購入することができる権利です。
例えば、ドルと円の為替取引において、満期時の権利行使価格が1ドル130円、オプションプレミアムが1円のコールオプションを購入した場合について考えます。
もし満期時、1ドル135円となった場合、オプションの買い手は権利を行使することで、1ドル130円で購入することができ、オプションプレミアムの1円を差し引いた4円の利益を得ることができます。このようにオプションの買い手が権利を行使する価値がある状態のことをインザマネーといいます。
また、同じ取引でもし満期時1ドル127円となった場合、オプションの買い手は権利を行使すると逆に損をしてしまうため、権利を行使せずに市場からドルを購入します。そのため、オプションの買い手は、オプションプレミアム分の1ドル当たり1円の損失を被ります。このようにオプションの買い手が権利を行使する価値がない状態のことをアウトオブザマネーといいます。
なお、権利行使価格と市場価格が同じ場合はアットザマネーといいます。
コールオプションの損益を縦軸に損益、横軸に価格を取った損益図で表した場合、コールオプションの買い手の損益は、権利行使価格までは一定のオプションプレミアム分の損失で、権利行使価格以降は右上がりのグラフとなります。また、売り手は買い手と上下対称のグラフとなります。片仮名の「ル」の右側の部分は右上がりの形になっているので、それと同じと覚えると覚えやすいです。
コールオプションは、掛け取引の決済などで後日現地通貨を調達する必要がある輸入業者が為替リスク(将来の円安による仕入価格の上昇等)をヘッジ(回避)するために用います。

プットオプションは、ある資産を将来の特定の期日に特定の価格で売ることができる権利で、権利の購入代金であるオプションプレミアムを支払うことで、もし将来ある資産が権利行使価格より値下がりした場合でも、権利行使価格で売却することができる権利です。
例えば、ドルと円の為替取引において、満期時の権利行使価格が1ドル130円、オプションプレミアムが1円のプットオプションを購入した場合について考えます。
もし満期時、1ドル125円となった場合、オプションの買い手は権利を行使することで、1ドル130円で売却することができ、オプションプレミアムの1円を差し引いた4円の利益を得ることができます。このようにオプションの買い手が権利を行使する価値がある状態のことをインザマネーといいます。
また、同じ取引でもし満期時1ドル135円となった場合、オプションの買い手は権利を行使すると逆に損をしてしまうため、権利を行使せず市場で円を売却します。そのため、オプションの買い手は、
オプションプレミアム分の1ドル当たり1円の損失を被ります。このようにオプションの買い手が権利を行使する価値がない状態のことをアウトオブザマネーといいます。
なお、権利行使価格と市場価格が同じ場合はアットザマネーといいます。プットオプションの損益を縦軸に損益、横軸に価格を取った損益図で表した場合、プットオプションの買い手は市場価格が安いほど収益が高く、権利行使価格までは右下がりのグラフとなり、権利行使価格以降は一定のオプションプレミアム分の損失となります。また、売り手は買い手と上下対称のグラフとなります。片仮名の「ト」は右下がりの形になっているので、それと同じと覚えると覚えやすいです。
プットオプションは、掛け取引などで後日現地通貨を円に替える必要がある輸出業者が為替リスク(将来の円高による手取りの減少等)をヘッジするために用います。
輸出業者と輸入業者どちらがプットオプションを使い、どちらがコールオプションを使うのかがごっちゃになりがちですが、その場合は「プっと出る(プット=輸出)」と覚えると覚えやすいです。

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:誤りです。「アット・ザ・マネー」の状態ではありますが、本源的価値はゼロです。

選択肢イ:誤りです。520円で原資産を買える権利に対し、現時点では500円のため、権利行使をすると20円損をします(よって権利を放棄します)。その場合、「アウト・オブ・ザ・マネー」の状態です。

選択肢ウ:その通りです。現在500円のものを580円で売れるため、権利行使をすると80円得をします(よって権利を行使します)。その場合、「イン・ザ・マネー」の状態です。

選択肢エ:誤りです。ウと同様に考えると120円の得になり、「イン・ザ・マネー」の状態です。

以上から、正解は選択肢ウとなります。

 

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