今日は、経済学・経済政策のR6第6問について解説します。
貨幣需要に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 貨幣は流動性が高いので、利子率の上昇によって取引動機による貨幣需要は増加する。
b 現金は物価上昇によって価値が増加するので、利子率の上昇によって資産選択の動機による貨幣需要は減少する。
c 現金は安全性の高い金融資産であり、利子率の上昇によって資産選択の動機による貨幣需要は減少する。
d 将来の不確実性が高いと見込まれるとき、利子率の上昇は予備的な動機による貨幣需要を増加させる。
〔解答群〕
ア a:正 b:誤 c:誤 d:正
イ a:誤 b:正 c:正 d:誤
ウ a:誤 b:正 c:誤 d:誤
エ a:誤 b:誤 c:正 d:誤
オ a:誤 b:誤 c:誤 d:正
解説
貨幣需要に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
貨幣の需要には取引需要(L1)と投機的需要(L2)の2つのタイプの需要があります。
取引需要とは、物を買うときに必要な交換価値としての貨幣の需要のことです。国が豊かになり国民所得が増えれば、消費意欲が増加し、取引需要が増えるため、貨幣の取引需要は国民所得の増加関
数として表すことができます。
投機的需要とは、自分の資産を流動資産(貨幣)と投資その他の資産(債券)のどちらで保有するかによって決まる需要です。金利が高いときは、債券の方が儲かるので債券で運用しようと考え、金利が
低いときは債券で持っていても儲からないので流動資産(貨幣)で保有し、将来の投資に備えようと考えます。この将来の投資のために保有しようとする貨幣の需要を貨幣の投機的需要といいます。
貨幣の供給量が増えると利子率が低下し、債券を保有する魅力が低下するため、流動資産としての貨幣の需要が増加します。そのため、貨幣の投機的需要は利子率の減少関数であると考えることができます。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。取引需要は国民所得の増加によって増加します。利子率の上昇は投資を抑えてしまうため、国民所得のマイナスになります。
選択肢イ:誤りです。現金は物価上昇の影響を受けません。物価が上がったら1万円札が2万円になることはありませんよね。
選択肢ウ:その通りです。資産選択の動機による貨幣需要は、投機的動機のことを指します。よって、利子率の減少関数となり、利子率が上がると資産選択の動機による貨幣需要は減ります。
選択肢エ:誤りです。予備的需要は将来の不測の事態に備えて保有する貨幣需要のことで、取引需要の一部となります。よって、国民所得の増加によって取引需要は増えますので、予備的需要も増えます。
以上から、a:誤 b:誤 c:正 d:誤 なので、
正解は選択肢エとなります。
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