今日は企業経営理論H28第29問について解説します。
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
顧客が求める価値を提供し、継続的な関係を築くために、多くの企業は①マーケティング・リサーチを行い、得られたデータから顧客についての深い洞察を得ている。その手法は多様化している。例えば、②顧客の生活に入り込むなどして観察を行ったり、マーケティング刺激に対する眼球の動きや脳内の血流を測定したりするなど、文化人類学や脳科学の手法も積極的に取り入れている。
(設問1)
文中の下線部①の「マーケティング・リサーチ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 売上高、利益や GRP(グロス・レイティング・ポイント)などのマーケティング変数は、間隔尺度に含まれる。
イ 顧客の意見や市場のニーズを抽出するために、コールセンターやWebサイトなどに寄せられるユーザーの意見を用いてデータマイニングを行うことは、一般的に有効である。
ウ 質問票の作成に際し、例えば「新しい清涼飲料水には、あと味がすっきりしていることや健康促進効果があることが望ましい」という詳細な選択項目を用意することが必要である。
エ 調査対象とする課題が明確になったら、製造業の場合、担当者は自社に適した最新のデータを獲得するために一次データ(プライマリーデータ)の収集から始めるのが一般的である。
(設問2)
文中の下線部②の「顧客の生活に入り込むなどして観察」を行う調査法として、最も適切なものはどれか。
ア エスノグラフィーによる調査
イ セントラル・ロケーション・テスト
ウ ニューロ・マーケティングによる調査
エ フォーカス・グループ・インタビュー
解説
マーケティングリサーチに関する問題です。
それでは早速各設問を見ていきましょう。
(設問1)
設問1はマーケティング・リサーチに関する問題です。
選択肢アは、間隔尺度という言葉の意味を知らないと判断が難しいかと思います。
ちなみに、間隔尺度とは値そのものに意味はなく、値の間隔に意味があるような尺度です。例えばアンケート結果の段階(★、★★、★★★、★★★★、★★★★★)は、値そのものに意味はありませんが、値の間隔に意味があります。
売上高、利益やGRP(グロス・レイティング・ポイント)などのマーケティング変数は値自体に意味があるものですので、この選択肢は×です。
選択肢イは、その通りで、ユーザの意見を用いて行うデータマイニングは有効です。
念のため残りの選択肢についても確認していきましょう。
選択肢ウは、1つの質問の中に①あと味がすっきりしている、②健康促進効果があるという2つの要素が含まれているので、適切ではありません。よってこの選択肢は×です。
選択肢エについて、調査を行う場合、最初は集めるのに費用や手間がかかる一次データではなく、手に入りやすい二次データを使う方が一般的です。よってこの選択肢は×です。
以上から、設問1の正解は選択肢イです。
(設問2)
設問2は語句の意味を知っているかどうかが問われています。
ここで問われている「顧客の生活に入り込むなどして観察」を行う調査法は、選択肢に挙げられている用語のうちエスノグラフィーによる調査です。
よって設問2の正解は選択肢アです。