今日は、経済学のR6第7問について解説します。
生産物市場の均衡条件が以下のように表されるとき、減税の乗数効果を大きくするものとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
生産物市場の均衡条件 Y=C+I+G
消費関数 C=Co+c(Y-T)
投資支出 I=Io
政府支出 G=Go
ただし、Yは所得、Cは消費支出、Coは基礎消費、c(0<c<1)は限界消費性向、Tは租税、Iは投資支出、Gは政府支出である。
ア 基礎消費の増加
イ 限界消費性向の上昇
ウ 限界貯蓄性向の上昇
エ 政府支出の増加
オ 投資支出の増加
解説
乗数効果に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
均衡国⺠所得Y*は投資I、政府⽀出G、租税T、限界消費性向c、独⽴消費C0の関数として表せます。
これらの変化が国⺠所得にどのような変化を及ぼすのかを説明する理論のことを乗数理論といいます。そして、投資、政府⽀出、租税を変化させたとき、均衡国⺠所得が何倍になるか、ということを⽰すのが、投資乗数、政府⽀出乗数、租税乗数といった乗数です。
投資乗数は、投資Iを⊿Iだけ増加させたときにどれだけY*が増えるかを表し、
投資乗数=1/(1−c)
と表すことができます。ここで(1−c)は限界貯蓄性向といい、Y*が1増えたとき、どれだけが貯蓄に回るのかということを表しています。
政府⽀出乗数とは、政府⽀出Gを⊿Gだけ増加させたときにどれだけY*が増えるかを表し、
政府⽀出乗数=1/(1−c)
と表すことができます。
租税乗数とは、租税Tを⊿Tだけ増加させたときにどれだけY*が増えるかを表し、
租税乗数=−c/(1−c)
と表すことができます。租税が増えると、その分消費に充てられるお⾦が減りますので、租税乗数はマイナスとなります。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。基礎消費Coは乗数効果に影響を与えません。
選択肢イ:その通りです。減税の乗数効果は租税乗数で示されます。そして、その租税乗数を大きくするものはcの限界消費性向の上昇になります。
cに0〜1の数値を代入してみましょう。
cに0.1を代入すると租税乗数は-0.1/0.9=-1/9となります。
cの数値を大きくして0.5を代入すると租税乗数は-0.5/0.5=-1となり、乗数効果が上がった(乗数効果の大小は絶対値で測定されます)ことが確認できます。
選択肢ウ:誤りです。限界貯蓄性向は限界消費性向の反対の性質をもつものなので、限界貯蓄性向の上昇は、限界消費性向の減少とイコールになります。限界消費性向の減少は選択肢イの反対になりますので、乗数効果は下がってしまいます。
選択肢エ:誤りです。政府支出Gは乗数効果に影響を与えません。
選択肢オ:誤りです。投資支出Iは乗数効果に影響を与えません。
以上から、正解は選択肢イとなります。
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