【過去問解説(企業経営理論)】R5 第6問 企業の先行者優位性

今日は、企業経営理論 R5 第6問について解説します。

企業経営理論  R5 第6問

 企業の先行者優位性に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 技術が特許によって保護される状況では、技術の模倣や売買が不可能であるため、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
イ 顧客側のスイッチングコストが高い状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
ウ 顧客の嗜好の変化や新しい顧客ニーズが次々に生まれる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
エ 先行者の投資に対して後発者が大きく「ただ乗り」できる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
オ 非連続的な技術革新が頻繁に起こる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。

解説

企業の先行者優位性 に関する問題です。

まとめシートでは、以下の通り解説しています。

 

速度の経済:速度の経済とは、企業活動のスピードを上げることで得られる、経済的なメリットのことをいいます。具体的には、①企業活動のスピードアップにより、⽣産から販売までのリードタイムが短縮されて、機会損失や売れ残りロス、在庫が削減できる、②他社より早く⾃社製品を投⼊することで先⾏者優位を獲得できる、③同じ機能を持つ製品でもより短い納期で納品することで、スピードそのものを競争優位の源泉とできるというメリットが挙げられます。スピードそのものが競争優位の源泉となることを、タイムベース競争ともいいます。

先発の優位性:先発の優位性とは、早い時期に市場に参⼊することで得られる優位性のことをいいます。早い時期に市場に参⼊することで、例えば、付箋といったらポストイット、絆創膏といったらバンドエイドといったように、最も早く市場に参⼊した製品のブランド名がそのカテゴリの製品の代名詞的に使われるため、後発に対して⼼理的な参⼊障壁を作ることができるというメリットがあります。他にも、イノベーター層と呼ばれる、価格を気にせず新しいものを求める顧客層に対し⾼価格で販売することができるため、早期に費⽤を回収しやすい点や、経験曲線効果が働くことによって⽣産⾯コスト⾯で有利となる点もメリットとして挙げられます。それに対し、デメリットとしては、まだ製品やカテゴリの認知度が⼗分ではないところからのスタートであるため、製品の認知のための広告宣伝費が膨⼤となる点、新技術を開発できる技術⼒の確保や製品の研究開発のための投資が必要となる点、投⼊した製品が本当に市場に受け⼊れられるか不確実である点が挙げられます。

後発の優位性:先発の優位性に対し、後発の優位性とは、先発企業に対して後発企業が持つ優位性のことをいいます。後発企業のメリットとしては、既に市場が作られており製品やカテゴリの認知度もある程度⾼まった段階で参⼊するため、ブランドの訴求をするだけで良く、開発費や広告宣伝費があまりかからない点や、需要の不確実性を⾒極めてから参⼊できる点、顧客ニーズの変化を観察し、独⾃の改良で価値を訴求することで先発企業の市場を奪い取ることができる点が挙げられます。しかし、先発企業が先に参⼊障壁を作ってしまった場合、参⼊が困難となる点や、参⼊初期は経験曲線効果が働かないため、⼀定量⽣産するまでは⽣産コスト⾯で不利である点がデメリットとして挙げられます。


上記の知識を思い出して、各選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢ウ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢オ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

以上から、正解は選択肢イとなります。

 

 

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