今日は、法務 R2 第16問（1）について解説します。
以下の会話は、株式会社Ｐの代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、空欄Ｃは、設問ではなく、あえて空欄としているものであり、解答する必要はない。
甲 氏：「弊社は、 ［Ａ］ として、a 国のＱ社との間で売買契約を締結する予定です。Ｑ社から提示された売買契約書案には、以下のような条項があるのですが、変更を申し入れる必要はありませんか。
In no event shall the liability of the Seller for breach of any contractual provision relating to the Goods exceed the purchase price of the Goods quoted herein. Any action resulting from any breach by the Seller must be commenced by the Buyer within two weeks after the Goods are delivered.」
あなた：「この規定は、御社にとって、不利益な条項となっております。例えば、［Ｂ］ という点があります。」
甲 氏：「ありがとうございます。以下の規定は、どのような内容のものですか。
This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the ［Ｃ］ .」
あなた：「この規定は、 ［Ｄ］ に関する規定です。 ［Ｅ］ 。全体にわたって相談が必要でしたら、弁護士を紹介することは可能です。」
甲 氏：「ぜひ、よろしくお願いいたします。」
（設問 1 ）
会話の中の空欄ＡとＢに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
ア Ａ：売主 Ｂ：買主の契約違反に対する訴訟提起の期間が短い
イ Ａ：売主 Ｂ：買主の賠償の上限が商品の購入価格とされている
ウ Ａ：買主 Ｂ：売主の契約違反に対する訴訟提起の期間が短い
エ Ａ：買主 Ｂ：売主の賠償の上限が現実に生じた損害に限定されている
解説
（設問1）
英文契約書に関する問題です。
まとめシートでは、英文契約書でよく使用される単語を以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
ポイントは、文章全体を和訳せずとも選択肢を確認しながら、必要な箇所のみピックアップしていくことです。
まず、［A］です。
御社にとって、不利益な条項となっております、という助言をしていますので、不利になりそうな条項を探すと
「Any action resulting from any breach by the Seller must be commenced by the Buyer within two weeks after the Goods are delivered.」とあり、
Any action resulting from any breach by the Seller=売主の違反に起因する全ての訴訟（アクション）
commenced by the Buyer within two weeks after the Goods are delivered=商品到着２週間以内に開始しなければならない
by the Buyer=買主によって
以上から、一部単語が分からずとも、何となく買主の方が不利そうだと分かります。
よって、［Ａ］には「買主」を入れます。
次に［Ｂ］です。
［Ａ］の解釈から、商品到着２週間以内に訴訟開始ということで既に短そうなので「売主の契約違反に対する訴訟提起の期間が短い」で問題なさそうです。
念の為、「売主の賠償の上限が現実に生じた損害に限定されている」の方を確認してみると、
「no event shall the liability of the Seller」＝売主は責任を負わない
「exceed the purchase price of the Goods quoted」見積もられた商品の購入価格を超える
ということで、売主の賠償の上限は商品購入価格までのみと分かります。
よって、［Ｂ］には「売主の契約違反に対する訴訟提起の期間が短い」が入ります。
以上から、正解は選択肢ウとなります。
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