今日は、企業経営理論 H26 第27問(設問1)について解説します。
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
家業の果物農家を継いだ S 氏は、父親の代から取り組んできた大手小売チェーンへの完全直販体制をさらに強化するために、地域の若手農家とともに、この小売チェーンとの間で自らが生産する果物の①ブランド化を図る準備を進めている。各種の調査結果からは、消費者の年齢と果物の消費量との間には強い正の相関があることが明らかにされている。そこで、S 氏はこの取り組みのメンバーと②マーケティング・リサーチ検討会を立ち上げ、今後とるべき方策の判断材料を集めることにした。
(設問1)
文中の下線部①に示す「ブランド化」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 一般的に果物の成分効用は明確に識別することが可能である。おのおのの果物の成分効用という情緒的属性をベースとしたブランド・アイデンティティをデザインすれば、大きな効果を得ることができる。
イ 果物のブランド化においては、取引先小売チェーンの顧客データや販売データを分析し、より廃棄ロスの少ない形でのブランド育成の方法を探索することが望まれる。
ウ この果物のブランド化の取り組みは、少なからず作柄の影響を受ける。作柄に応じて、生産者側が出荷制限を行ったり、小売チェーン側が卸売市場を通した機動的な仕入れを行ったりすることが商品の安定的供給の上で不可欠である。
エ 取引相手となる小売チェーンの店頭で展開する果物商品を通じて消費者の欲求理想点に近いポジションを獲得することができれば、このブランド化の構想は、強力なプッシュ効果による指名買い行動を生み出すことが可能となる。
解説
ブランドに関する問題です。
まとめシートで以下の通り解説しています。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。果物の成分効用などのように明確に識別することが可能なものは情緒的属性ではなく、「機能的属性」と呼ばれます。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:特に間違いはなさそうです。確信をもって、この選択肢が正しいとは言い切ない場合は一旦保留でもOKです。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢ウ:誤りです。、小売チェーン側が卸売市場を通した機動的な仕入れを行うというのは、S 氏の果物とは別の果物を仕入れると考えられるため、S氏の果物のブランド化を阻んでしまう可能性があります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:誤りです。消費者の欲求理想点に近いポジションを獲得しブランド化を促進することは、お客を引っ張る「プル戦略」による指名買いを生み出すことが可能となります。
よって、この選択肢は×です。
以上から、最も適切なものは、という設問文の指示に従うと保留にしておいた、選択肢イで問題なさそうですので
正解は選択肢イとなります。
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