今日は、経済学の R1 第9問について解説します。
自然失業率仮説に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a インフレと失業の間には、短期的にも長期的にも、トレード・オフの関係が成立する。
b 自然失業率とは、非自発的失業率と自発的失業率の合計である。
c 循環的失業の拡大は、実際のインフレ率を抑制する。
d 政府による総需要拡大策は、長期的にはインフレを加速させる。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとd
ウ bとc
エ cとd
解説
自然失業率に関する問題です。
自然失業率の前提であるフィリップス曲線について、まとめシートでは以下の通りまとめています。
自然失業率とは、完全雇⽤状態の失業率であるとされています。
なお、上図の説明として、名⽬賃⾦の上昇率と物価の上昇率には正の相関関係があるため、フィリップス曲線の縦軸を物価の上昇率に置き換えたものを物価版フィリップス曲線といいます。
物価版フィリップス曲線は縦軸に物価の上昇率を、横軸に失業率を取った右下がりの曲線となり、また、この曲線の物価上昇率が0となる点の失業率UNを⾃然失業率といいます。
それでは選択肢をみていきましょう。
a:誤りです。上図でも説明の通り、インフレ率と失業率は無関係です。
よって、この選択肢は×です。
b:誤りです。自然失業率とは、完全雇⽤状態の失業率であるため、非自発的失業(望んでいるが働けない状況)は発生しないとされていいます。
よって、この選択肢は×です。
c:その通りです。循環的失業は、好況時により良い条件を求めて転職する場合や、不況時のリストラなどを指しますが、労働力が不足することにより発生します。上図のフィリップス曲線を参考にすると、短期的にはインフレ率と失業率には負の相関関係がありますので、循環的失業が拡大すると、インフレが抑えられると考えられます。
よって、この選択肢は〇です。
d:その通りです。政府による総需要拡大策によって、上図のフィリップス曲線の通りインフレ率の上昇と失業率の低下が起こります。しかし、この状態が続くと失業率は低減し、結果的に自然失業率(UN)に落ち着きます。
よって、この選択肢は〇です。
以上から、正しい選択肢はcとdですので
正解は選択肢エとなります。
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