今日は、企業経営理論のH30 第29問について解説します。
近年の流通チャネルの潮流に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア インターネット上の仮想ショッピング・モールでは、テナント店舗数が増加し、取扱商品の幅と奥行きが拡大すると、購入者数と流通総額(取扱高)が増加する効果が見られるが、消費者の探索効率が高まらない限り、その効果には限界がある。
イ オムニ・チャネル・リテイリングとは、小売業者が複数の業態のチェーンストアを経営することを通じて性格の異なる消費者クラスターごとに別々のチャネルで対応するための考え方である。
ウ 電子商取引のプラットフォームのうち、「商人型プラットフォーム」と呼ばれる形態がとられる場合、プラットフォームのユーザー数の増加がサービスの利便性を高めるという意味でのネットワーク外部性が発生しにくい。
エ 電子商取引のプラットフォームのうち、「マーケットプレイス型プラットフォーム」と呼ばれる形態がとられる場合、プラットフォームを介した流通総額(取扱高)がその経営主体の会計上の売上高として計上される。
解説
流通チャネルに関する問題です。
本問のようにネットショッピングや電子商取引など、近年主流になりつつある分野からの出題も増えているので、過去問で出たキーワードは押さえておくようにしましょう。
それでは選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:その通りです。「取扱商品の幅」とはアイテムのラインナップのこと、「奥行き」とは品揃えの深さのことを意味します。但し、ネットショッピングでは膨大な量の選択肢があるので、消費者側での探索効率をあげることでより利用しやすくなり、全体の売上も向上するといえます。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢イ:誤りです。オムニチャネルとは、別々のチャネルではなく、店舗やインターネット、SNSなど複数のチャネルが互いに連携して消費者の利便性を向上させることを目的としたチャネル戦略です。例えば、店舗に行ったけれど在庫がなかった場合に店舗からECサイトに発注し所品を受け取れるようにするといった仕組みです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢ウ:誤りです。商人型プラットフォームとは、C to C型の取引(メルカリやBUYMAなど)を指していると考えられれます。また、ネットワーク外部性とは、利用者が増えるほど利用者の利便性が向上することを言います。よって、商人型プラットフォームとは、C to C型の取引ではネットワーク外部性は発生しやすくなります。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:誤りです。マーケットプレイス型プラットフォームとは、楽天市場のような、企業が取引の場を提供し出店者が消費者に販売する形態を指していると考えられます。この場合、経営主体(楽天など)は手数料などで収益を上げますので、取扱高全額が売上になるとは言えません。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢アとなります。
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