今回は経営法務の産業財産権から過失の推定に関する問題について解説します。
今回の問題は知らないと全く解けませんが、理由と一緒にそれぞれの産業財産権を比較しながら覚えると覚えやすいですので、知らなかった方は余裕があれば覚えておくと良いと思います。
H29 経営法務 第8問
損害賠償請求を行う際に、請求者が侵害者の過失を立証しなくてもそれが推定される行為又は権利として、最も適切なものはどれか。
ア 営業秘密使用行為
イ 実用新案権
ウ 商標権
エ 著作権
損害賠償請求の過失が想定される行為または権利について問われています。
「損害賠償請求を行う際に、請求者が侵害者の過失を立証しなくてもそれが推定される行為又は権利」とありますが、これをもう少し普通の言葉でざっくりと言い換えると、
相手に何かの権利を侵害されて、損害を被ったからその損害を賠償させようと思ったときに、相手が悪いということを自分がいろいろ証拠を集めて示さなくてもOKな、「この権利を侵害したんだったら、侵害した人が悪かった前提で考えてもいいよ」という行為または権利、ということです。
そのような性質を持つ権利とは、審査があり、特許公報などにも掲載されている権利です。
なぜそのような権利は侵害した人が悪かった前提で考えてもいいかという理由をこれまたざっくりとイメージしやすいように説明しますと、事前に審査を行った上で、その権利が申請者にあることを特許公報などで公に示されている権利は、それを侵害したということは「特許公報などを調べればわかるはずなのにそれをしなかった」ということになりますので、「知らなかった」という言い訳は通らないからです。
そのため、この問題は
損害賠償請求の過失が想定される行為または権利=事前に審査が行われる行為または権利
はどれか、と言い換えることができ、
事前に審査が行われる行為または権利は
ウの商標権ですので正解はウとなります。
ちなみに他にも特許権や意匠権も事前に審査が行われる権利ですので、損害賠償請求の過失が想定されます。
ただし、意匠権のうち、秘密意匠については、秘密になっていてその権利が申請者にあることを調べることができないため損害賠償請求の過失は想定されません。
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