今回は、H24年経営法務の第15問について解説します。
H24 第15問
ア 中小小売商業振興法上の特定連鎖化事業に該当する事業を行うフランチャイズ本部には、その本部とフランチャイズ契約を締結しようとする加盟希望者に対し、あらかじめ、加盟に際し徴収する金銭、加盟者に使用させる商標・商号その他フランチャイズ契約の概要等を記載した書面を交付し、その記載事項について
説明する義務はない。
イ フランチャイズ契約解除後、フランチャイズ本部からフランチャイズ・チェーン名称の使用を継続している旧加盟店に対して名称使用の差止請求をするには、その名称の商標登録が必要である。
ウ フランチャイズ契約において、契約終了後も、フランチャイズ本部が加盟店に対して、特定地域で成立している商権の維持、同本部が加盟店に供与したノウハウの保護等に必要な範囲を超えるような地域、期間又は内容の競業禁止義務を課す規定をおくことは、優越的地位の濫用に該当する。
エ フランチャイズ契約における加盟希望者が小売店である場合でも、小売店は消費者とみなされるから、消費者契約法の適用がある。
解説
フランチャイズ契約の問題は、出題頻度はそれほど高くありません。
そのため、余裕がない場合は後回しにして結構ですが、余裕があれば、基本的な点を押さえておいても良いでしょう。
それでは早速各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、書面を交付する義務はない旨の記載がありますが、フランチャイズ契約の取引条件は書面で開示する必要がありますので×です。
選択肢イは、フランチャイズ契約は、通常フランチャイジーは、フランチャイザーの商標やサービスを利用して、同じイメージの下で営業を行う権利などを得る代わりにフランチャイザーに一定のロイヤリティを支払います。
フランチャイズ契約解除後は、フランチャイジーはその権利を行使することができなくなりますので、フランチャイザーの名称も利用できなくなります。これはフランチャイズ・チェーンの名称が商標登録をされているかいないかに関わらないため、この選択肢は×と考えられます。
選択肢ウは、その通りで、必要な範囲を超えるような規定を置くことは優越的地位の濫用に該当します。
選択肢エは、小売店は消費者とはみなされませんので、消費者契約法の適用はありません。
以上から正解は選択肢ウとなります。
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