まとめシート著者の野網です。
今回は企業経営理論について解説します。
企業経営理論は、戦略論から13問、組織論から14問、マーケティング論から14問と例年と変わらない比率で出題されました。
組織論は、論点としてはお馴染みの論点が比較的多く、全く初めて耳にするような理論としては「リーン・スタートアップ」くらいでしたが、企業経営理論独特の〇ともとれるような×ともとれるような表現の選択肢に騙されずに対応できれば、得点の積み重ねが期待できたのではと思います。
組織論は、第20問のミニ事例に驚いた方もいたのではと思います。
ミニ事例問題は読み込むのに一定の時間を要しますので、制限時間内で問題を解く際は、一旦パスし、最後に持って行くとタイムマネジメントがしやすくなります。
また、第22問から第25問の労働関連法規の問題も、付け焼刃では対応しづらい問題が多かったかと思います。
全体的に少し難しめの問題が多かったですので、取れるところで確実に得点し、知らないところは現場対応で取れたらラッキー、という対応になったかと思います。
マーケティング論は、用語の意味を知っているかどうかを問うタイプの問題が多く、戦略論のように日本語で悩むことは少なかったかもしれません。時々「知るか!」という用語が選択肢に含まれていることがあったかもしれませんが、わかる選択肢については落ち着いて判断すれば、正解の確率も上がっていきます。
全体の難易度としては、普通~やや難くらいだと考えます。
それでは、これから早速今年の問題の過去問解説を始めたいと思います。
R1 企業経営理論 第1問
多角化して複数の事業を営む企業の企業ドメインと事業ドメインの決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 企業ドメインの決定は、個々の事業の定義を足し合わせるのではなく、外部の利害関係者との間のさまざまな相互作用の範囲を反映し、事業の定義を見直す契機となる。
イ 企業ドメインの決定は、新規事業進出分野の中心となる顧客セグメント選択の判断に影響し、競争戦略策定の出発点として差別化の基本方針を提供する。
ウ 事業ドメインの決定は、将来手がける事業をどう定義するかの決定であり、日常のオペレーションに直接関連し、全社戦略策定の第一歩として競争戦略に結び付ける役割を果たす。
エ 事業ドメインの決定は、多角化の広がりの程度を決め、部門横断的な活動や製品・事業分野との関連性とともに、将来の企業のあるべき姿や経営理念を包含している存続領域を示す。
オ 事業ドメインの決定は、特定市場での競争戦略に影響を受け、将来の事業領域の範囲をどう定義するかについて、企業が自らの相互作用の対象として選択した事業ポートフォリオの決定である。
解説
毎年のように出題されるドメインの問題です。
まとめシートでも解説しましたが、ドメインときたら企業ドメインと事業ドメインの入れ替わりを疑います。今回の各選択肢も、入れ替わりを疑いながら読んでいきましょう。
それでは各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは特に問題となる記述はなさそうです。
念のため残りの選択肢も見てみます。
選択肢イは、「顧客セグメント選択の判断に影響し」とありますが、エーベルの3次元枠組でもあるように、「誰に(Customer)」「何を(Function)」「どのように(Technology)」を考えるのは事業ドメインですので、この選択肢は×となります。
選択肢ウは、「将来手がける事業をどう定義するかの決定」という記述が引っかかります。これは事業ドメインというよりは企業ドメインの範疇と考えられますので、この選択肢は×と考えられます。
選択肢エは、事業ドメインのことではなく企業ドメインのことを言っているので明らかに×です。
選択肢オも、事業ドメインのことではなく企業ドメインのことを言っているので×です。
以上から、正解は選択肢アとなります。
明日以降も残りの科目について総評&過去問解説を掲載させていただきます。
2次試験対策もまとめシートで
Amazon Kindleで好評発売中!
Amazonベストセラー1位獲得
一目でわかる!覚えてしまう!中小企業診断士一発合格まとめシート
好評発売中
—–