今回は、H26年経営法務の第10問について解説します。
H26 第10問
著作権法に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア ゴーストライターが自らの創作に係る著作物を他人名義で出版することに同意した場合、そのゴーストライターは、その著作物の著作者とはならない。
イ 小学校の教科書に小説を掲載する際に、難解な漢字をひらがな表記に変更する行為は、同一性保持権の侵害となる。
ウ 著作権者の許諾なく、スーパーマーケットで、BGM として CD の音楽を流すことは、演奏権の侵害となる。
エ 著作者人格権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
解説
著作権に関する問題です。
それでは早速各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、この問題が出題された平成26年ごろ大きな話題となったゴーストライターがテーマとなっています。
この問題は著作者の定義についての知識が問われていて、「著作者」とは、「著作を創造する者」ということを知っていると判断ができたかと思います。
依頼者がゴーストライターに報酬を支払って、ゴーストライターに執筆や作曲を依頼した場合、ゴーストライターは自分の著作物を他の人の名前で公表することに合意したため、世間からは依頼者が著作者のように見られます。
しかし、著作者の定義に従えば、たとえゴーストライターとして依頼者の名前で著作物を公表することに合意して、財産権としての著作権を譲渡した場合でも「著作を創造する者」はゴーストライターですので、実際の著作者はゴーストライターとなります。
よってこの選択肢は×です。
なお、もし著作者の定義を事前に知らなかった場合は、この選択肢は一旦保留にして他の選択肢をチェックするようにします。
選択肢イについて、著作権は、著作物の性質上やむを得ないときは制限され、著作物を利用することができます。この選択肢のような小学校の教科書に小説を掲載する際に、難解な漢字をひらがな表記に変更する行為は、著作物の性質上やむを得ないときと判断されますので、著作権が制限され、同一性保持権の侵害とはなりません。
よってこの選択肢は×です。
選択肢ウはその通りで、勝手にCDの音楽を流すことは、演奏権の侵害となります。
選択肢アの判断が悩ましかった場合も、選択肢アと選択肢ウで比較すれば、より適切そうな選択肢はウであると判断できるかと思います。
選択肢エの著作者人格権は譲渡できませんので×です。
以上から正解は選択肢ウとなります。
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