今日は運営管理のH30第15問について解説します。
新製品を組み立てるための標準時間をPTS(Predetermined Time Standard)法を利用して算定することにした。標準時間を設定するための準備に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a PTS 法で算定された標準時間を組立作業を行う作業者の習熟度に応じて調整するために、作業者の組立職場での就業年数を調査した。
b 設備による加工時間を別途付与するために、設備で試加工を実施して加工時間を計測した。
c 標準時間を見積もるための基礎資料を整備するために、既存製品の組立作業に対して時間分析を実施した。
d 試作品を組み立てるための模擬ラインを敷設して、製品組立の標準作業を決定した。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
解説
標準時間を設定する方法のひとつであるPTS(Predetermined Time Standard)法に関する問題です。PTS法は、作業を微動作(サーブリッグ)レベルまで分解し、あらかじめ定めた微動作ごとの作業時間値を積み上げて標準時間を求める方法です。
それでは早速、各記述を見ていきましょう。
記述aにある「作業者の習熟度に応じて調整する」というのはレイティングのことを示しています。PTS法では、微動作レベルでは作業者の個人差が無く、一定の時間値が求められるという考え方に基づいているため、レイティングを必要としません。
よって、この記述は×です。したがって、解答群にある選択肢ア、イも間違いとなります。
記述b:設備を利用して加工を行う場合には、加工時間は作業者の作業時間とは別に計測して把握しておく必要があります。新しい部品の加工を行う場合には、あらかじめ使用する設備で試加工を実施して加工時間を計測します。
よって、この記述は〇です。
記述cにある「既存製品の組み立て作業に対して時間分析を実施」するのは標準時間資料法の手順になります。標準時間作業法では、要素作業ごとの所要時間を資料化し、仕事ごとに各要素作業時間を合計することで標準時間を算出します。
よって、この記述は×です。したがって、解答群にある選択肢ウも間違いとなります。
記述dにある「製品組み立ての標準作業の決定」は、標準時間を設定する方法によらず必要なプロセスになります。標準作業を決定することで、標準時間の設定や使用する設備の選定・配置が可能になりますので、試作品を組み立てるための模擬ラインの敷設は有効な手段となります。
よって、この記述は〇です。
以上から、正解は選択肢エとなります。