運営管理は科目またぎがお好き

運営管理の過去問を解いているとき、「あれ?この問題って別の科目じゃなかったっけ?」と思うことはありませんか?

 

実は、運営管理はなぜか科目またぎが好きなようで、過去問を見ていると度々別の科目の問題じゃないかという問題がまぎれていることがあります。

科目も企業経営理論が一番多いですが、それ以外にも財務・会計や法務などバラバラです。

ただし、難易度は比較的低い問題が多いため、7科目受験の方は「あれ?」ってくらいで済むかもしれませんが、科目受験の方はその年に勉強していない科目の問題が出ると、少々焦ってしまうかもしれません。

 

今回はそんな科目またぎの問題をご紹介します。

問題の紹介がメインなので、解説はあっさりといきますが、科目受験の方は、そういうこともあり得ると心の準備をしておくことで、本番で焦らなくてすむかもしれません。

 

H29 運営管理 第4問

モジュール生産方式に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア あらかじめ複数種類の部品を組み立てておき、注文を受けてからそれらの組み合わせによって多品種の最終製品を生産することが可能となる。
イ 外部のサプライヤーに対してモジュール単位で発注を行えば、サプライヤーの数を絞ることが可能となるため、管理の負担を軽減することが期待できる。
ウ 組立工程で扱う部品点数が削減され、組立工程が短くなり注文を受けてから納品するまでのリードタイム短縮が期待できる。
エ 製造設備の使用日程・資材の使用予定などにオーダーを割り付け、顧客が要求する納期通りに生産する方式で、平準化生産など製造効率の良い生産が可能となる。

 

企業経営理論からモジュール生産方式についてです。

エはモジュール生産方式でなく、生産座席予約方式についてなので不適切ですので、正解はエとなります。

 

H29 運営管理 第31問
小売業の商品政策・価格政策に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア EDLP 政策では、CRM を強化するなど店舗のサービス水準を高めることが必要である。
イ 小売業が自ら企画し、外部に生産を委託したプライベート・ブランド商品を中心とした品揃えは、他店との差別化に有効であるが粗利益率を低下させる。
ウ 小規模な店舗で狭い商圏の顧客を囲い込むためには、特定の商品カテゴリーで奥行きの深い品揃えを追求する。
エ ハイ・ロープライシング政策で、来店促進のために利益が出ないほど安く販売する目玉商品をロスリーダーという。

 

同じく企業経営理論から価格戦略についてです。

アのEDLPは安売りなので×、イは粗利益率を低下させないので×、ウは品揃えの幅が狭いと商圏は広く、品揃えの幅が広いと商圏は狭くなるので×、で正解はエとなります。

 

H29 運営管理 第32問
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)では一般消費者の利益を保護するために、店舗で販売促進を実施する際に遵守しなければならない事項が定められている。例えば、商品の購入者全員に景品類を提供することを総付景品といい、その限度額が定められている。この限度額に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 取引価額が 1,000円以上の場合、景品類の最高額は取引価額の10分の1である。
イ 取引価額が 1,000円未満の場合、景品類の最高額は200円である。
ウ 取引価額が 5,000円以上の場合、景品類の最高額は10万円である。
エ 取引価額が 5,000円未満の場合、景品類の最高額は200円である。
オ 取引価額が 5,000円未満の場合、景品類の最高額は取引価額の2%である。

 

経営法務から景品表示法についてです。

総付景品の限度額は、1000円未満は200円、1000円以上は値段の5分の1が限度額ですので、正解はイです。

私も本試験でこの問題を解きましたが、「君、出てくる日を間違ってないかい??」とかなりびっくりした覚えがあります。

 

H29 運営管理 第39問
ある売上の事象に対するXとYという2つの評価データがあるとき、この2つの評価データの相関係数に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、XまたはYが、すべて同じ値の場合は除く。

ア 相関係数が 0.1であれば、サンプル数に関係なく5%の有意水準では有意にならない。
イ 相関係数は、-100~100 の範囲の値として計算される。
ウ 両者の評価が同じ方向に強く類似している場合、相関係数は必ず正の値になる。
エ 両者の評価に関連性がない場合、相関係数は必ず負の値になる。

 

財務・会計から相関係数についてです。

アはぱっと見判断がつかなければいったん保留にします。イは相関係数は-1~1までの値なので×です。ウは○です。エは負ではなく0なので×です。アは保留にしていましたが、ウが明らかに正しいのでウが正解とできます。

 

H29は科目またぎの問題が4問もありました。

他の年度も例年1~2問程度ありますが、H29は特に多い年でした。

ご参考にH24までの科目またぎの問題もご紹介します。

 

H28 運営管理 第30問

第30問
消費者の購買慣習からみた商品分類として、最寄品、買回品、専門品という分類がある。これら3つの分類と分類にあてはまる商品の一般的な特徴に関する次のa~cの記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a 消費者は商品へのこだわりがあり、複数の店舗を比較して買う。
b 消費者は手近にある情報により、買うことを決める。
c 消費者は時間をかけることを惜しまずに、遠方の店舗でも買いに行く。

解答群
ア 買回品 ― b
イ 専門品 ― b
ウ 専門品 ― c
エ 最寄品 ― a
オ 最寄品 ― c

 

企業経営理論から商品分類についてです。aは買回品、bは最寄品、cは専門品なので正解はウです。

 

H28 運営管理 第42問

「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン(平成 26年12月)」の対象となっている個人情報として、最も不適切なものはどれか。
ア 企業が保有している雇用管理情報
イ 企業の財務情報等、法人等の団体そのものに関する情報
ウ 特定個人を識別できる情報ではないが、周知の情報の補完によって個人を識別できる情報
エ 日本国民ではない外国人の個人に関する情報
オ 防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報

 

経営情報システム(もしくは経営法務)から個人情報の保護についてです。

「個人」情報保護法なので、法人は対象外なので、イが不適切です。よって正解はイです。

 

H27 運営管理 第29問

小売業の販売方法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 慣習価格を崩さずに商品の容量を減らすことは、顧客生涯価値を高めるのに役立つ。
イ クーポンを発行して、レジで商品の価格を割り引いて販売することは、単なる値引きと比べて消費者の内的参照価格の低下を防ぐのに役立つ。
ウ シーズン性のある商品をそのシーズンの終わりに価格を割り引いて販売することは、商品在庫の削減に役立つ。
エ 商品の価格を変更せずに容量を増やして販売することは、割安感を演出するのに役立つ。
オ 値引き後の販売価格と値引き前の通常販売価格を二重価格表示することは、割安感を演出するのに役立つ。

 

企業経営理論から商品分類についてです。アの「慣習価格を崩さずに商品の容量を減らす」というのは実質的な値下げですが、これが「顧客生涯価値を高める」という因果関係は成り立たないので不適切です。よって正解はアです。

 

 

H26 運営管理 第32問
次の文中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
小売業者がインターネット通販を行う場合は、[A]に基づいて、事業者の名称、住所および電話番号などについて表示しなければならない。 [A] は、基本的には[B]に適用される。

[解答群]
ア A:特定商取引に関する法律(特定商取引法)
B:事業者間の取引
イ A:特定商取引に関する法律(特定商取引法)
B:事業者と消費者との間の取引
ウ A:不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
B:事業者間の取引
エ A:不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
B:事業者と消費者との間の取引

 

経営法務から特定商取引法についてです。Aは特定商取引法、Bは事業者と消費者との間の取引ですのでイが正解です。

 

 

H26 運営管理 第41問
小売店頭では、販売促進などのために消費者の個人情報を把握しようとする場合が少なくない。そこで、個人情報の有用性に配慮しながら、個人の権利利益を保護することを目的として、いわゆる「個人情報保護法」が制定された。この法律における「個人情報」に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 生存者か死者かは問わない。
b 公開情報か非公開情報かは問わない。
c プライバシー性やセンシティブ性の有無は問わない。
d 他の情報との照合可能性は問わない。

(解答群)
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
オ cとd

 

経営法務(もしくは経営情報システム)から個人情報保護法についてです。

知らないと解けない問題ですが、bとcが○ですので、正解はウです。

 

 

H25 運営管理 第30問
小売業の価格設定と価格政策に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 慣習価格政策は、すでに一般的に浸透している価格を設定する手法である。
イ コストプラス方式の価格設定は、価格が市場の実情に合わない場合がある。
ウ マーケットプライス法は、全国共通の価格を設定する手法である。
エ 名声価格政策は、意識的に高価格を設定することによって、高品質であることを連想させる手法である。

 

企業経営理論から価格戦略についてです。

ウは競合の価格を見て価格を決める戦略なので、「全国共通の価格」ではないため不適切です。よってウが正解です。

 

H24 運営管理 第18問

設備投資額として 2,000万円の初期投資を行うと、その後5年間にわたって毎年末に450万円の人件費の節減効果が期待できる設備投資案の内部収益率は約4%と計算される。この投資案の正味現在価値(円)と金利を考慮した割引回収期間(年)に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、資本コストは年率7%とする。また、税金は考慮しないものとする。

ア 正味現在価値>0 かつ 割引回収期間>5
イ 正味現在価値>0 かつ 割引回収期間<5
ウ 正味現在価値<0 かつ 割引回収期間>5
エ 正味現在価値<0 かつ 割引回収期間<5

 

財務・会計から意思決定会計についてです。

この問題も、いきなり本番で見るとびっくりしてしまうかもしれません。
でも、財務・会計の問題だと思って落ち着いて考えれば解くことができる問題です。

問題文より内部収益率が資本コストよりも低いのでNPVはマイナスとなります。

「割引」回収期間ですので、単純に2000万円÷450万円ではなく、2000万円から毎年のキャッシュフローを資本コストで割り引いた金額を差し引いた回収期間で判断します。

これ、真面目に計算しようとすると大変ですが、5年後の正味現在価値がマイナスということは、毎年のキャッシュフローを資本コストで割り引いた金額の場合、まだ投資が回収できていないということですので、回収期間は5年より長いと考えられます。

よって、正味現在価値<0 かつ 割引回収期間>5となり、正解はウとなります。

以上、今日は盛りだくさんでしたが、科目またぎは今年もきっとある、と思っておくといざ本番で出たときに焦りにくくなります。

 

 

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2件のフィードバック

  1. H24 運営管理 第18問 ですが、投資額の2000万円をCF450万円で割ると4.4になるので、正解はエではないでしょうか? 

    追伸:まとめノート、2冊購入いたしました。大変参考になります。

    浅沼

    1. コメントありがとうございます。
      申し訳ありません。
      解説がの内容が間違っておりました。
      解説を修正いたしましたので、ご参照ください。

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