【過去問解説(運営管理)】R6第33問 在庫管理

今日は、運営管理のR6第33問について解説します。

R6 運営管理 第33問

 小売店舗における在庫管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 定期発注方式を採用している場合、発注から納品までの調達期間のみを変更して長くすると、発注量を減らすことができる。

イ 定期発注方式を採用している場合、発注間隔のみを変更して長くすると、安全在庫を減らすことができる。

ウ 定量発注方式を採用している場合、安全在庫のみを変更して増やすと、発注点は低くなる。

エ 定量発注方式を採用している場合、発注点のみを変更して高くすると、発注から納品までの調達期間を長くすることができる。

オ 定量発注方式を採用している場合、発注量のみを変更して増やすと、発注点に基づく発注間隔は長くなる。

解説

在庫管理に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

 

1. 定期発注⽅式: 定期発注⽅式は、⼀定期間ごとに需要量を予測して発注する⽅法です。発注してから次の発注を⾏うまでの期間を発注サイクルといい、定期発注⽅式では⼀定の発注サイクルで発注を⾏います。また、発注から納品までの期間を調達期間、発注サイクルに調達期間を加えた期間のことを在庫調整期間といいます。なお、ここでいう在庫量とは、有効在庫の量のことを⽰し、有効在庫の量は下記の式で表されます。(後述の定量発注⽅式でも同様)

有効在庫=実在庫+発注残−引当量

ここで、発注残とは、発注はしているもののまだ納品されていない在庫の量、引当量は受注もしくは使⽤予定はあるものの、まだ納品もしくは使⽤されていない場合に割り当てておく在庫の量のことを表します。定期発注⽅式は、発注の都度、発注量を計算するため、精度の⾼い管理ができ、需要の季節変動が⼤きな品⽬にも対応可能というメリットがあります。⼀⽅で、管理が複雑で⼿間がかかる、発注サイクルが⻑い場合、安全在庫が過⼤になる可能性があるというデメリットがあります。定期発注⽅式の発注量は、以下の式で求めることができます。

発注量=在庫調整期間の予想消費量−現在の在庫量−発注残+安全在庫

発注サイクルもしくは調達期間を短くできれば、在庫調整期間の予想消費量が減りますので、発注量を少なくすることができます。また、上記の式の中で安全在庫という項⽬がありますが、安全在庫とは、需要変動や補充期間の不確実性を吸収するために必要な在庫のことで、①品切れの許容度合い、②需要量の変動のばらつきの⼤きさ、③調達リードタイムによって求められます。

 

2. 定量発注⽅式: 定量発注⽅式は、在庫量が発注点として定めた在庫量を下回ったときに、あらかじめ決めておいた量を発注する⽅式です。発注点は以下の式によって求めることができます。

発注点=調達期間×調達期間中の 1 ⽇の平均需要量+安全在庫

なお、このとき基準とする在庫量は定期発注⽅式の項⽬で説明した有効在庫であり、実在庫の量ではありませんので注意が必要です。定量発注⽅式は、運⽤・管理が楽で事務処理の効率化・⾃動化が可能という点がメリットですが、⼀定量の発注のため需要の季節変動が⼤きいものや調達期間が⻑い品⽬には不向きであるというデメリットがあります。

 

 

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢オ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。

以上から、正解は選択肢オとなります。

 

 

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