今回は運営管理の稼動分析に関する問題についてです。
この問題は、基本的な知識を踏まえて、現場対応の計算が要求される問題で、その場で解法を考えないといけないため、手持ちの時間によっては後回しにしても良い問題かと思います。
ただ、H28、H29とこの手の基本的な知識を踏まえて現場対応が必要とされる問題は増えてきていますので、確実に科目合格したい方は、慣れておくようにすると良いと思います。
H29 運営管理 第7問
下表は、ある職場で加工に用いられている機械Aについてワークサンプリングを行った結果を示している。主作業以外の作業を改善対象として抽出するため、対象となる作業のパレート分析を行った。80 %を超えない範囲でできるだけ多くの作業を改善対象とするとき、その作業の数として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
[回答群]
ア 3
イ 4
ウ 5
エ 6
この問題で必要となる知識は以下の2つです。
・主作業とは何か?
・パレート分析とは何か?
それでは実際に問題を見てみましょう。
まず、「主作業以外の作業を改善対象として抽出する」とありますので、主作業とそれ以外の作業を分ける必要があります。
ワークサンプリングでは作業者の行動を観測し、生産活動に関連する行動を作業に、それ以外の行動を余裕に分類します。
そして作業は、材料の準備や金型交換のための段取作業など始業やロットごとに行われる準備段取作業とメインの作業である主体作業に分類されます。
さらに、主体作業はメインの作業である主作業と工具の付け外しなどメインの作業に付随した規則的な作業である付随作業に分類することができます。
この問題の表に挙げられた行動は、「機械加工」、「加工部材の脱着作業」、「段取替え」が作業に、それ以外の「着脱作業待ち」、「段取替え待ち」、「加工部材待ち」、「故障」が余裕に分類されます。
作業は「段取替え」が準備段取作業に、「機械加工」、「加工部材の脱着作業」が主体作業に分類されます。
さらに、主体作業のうち、「機械加工」はメインの作業である主作業に、「加工部材の脱着作業」は付随作業に分類されます。
以上より、表の「機械加工」は主作業なので、これは除外して考えることとします。
そうすると、主作業以外の作業の観測回数は全体の2320回から主作業の1320回を引いて、1000回となります。
次に、パレート分析で「80 %を超えない範囲でできるだけ多くの作業を改善対象とする」とあります。
パレート分析は全体の中で大きな影響を占める要因が何かを明らかにし、重要な問題を特定するために用いられる分析方法です。
パレート分析では、要因を多いものから順番に並べ、累計のパーセンテージ取って分析します。
そのため、この問題の場合、「80%を超えない範囲で」とありますので、1000回の80%は800回で、表の「機械加工」を除いた要因の上位から800回分が対象となります。
表の上位の要因から順に見ていきましょう。
「加工部材の脱着作業」は251回なので800回より小さく、対象となります。
「加工部材の脱着作業」の251回を除くと対象は800-251=549回となります。
次に、「段取替え」は205回なので549回より小さく、対象となります。
「段取替え」の205回を除くと対象は549-205=344回となります。
そして、「着脱作業待ち」は189回なので344回より小さく、対象となります。
「着脱作業待ち」の189回を除くと対象は344-189=155回となります。
さらに、「段取替え待ち」は155回でちょうど残りの155回と等しくなるため、ここまでが対象、ということがわかります。
以上より、対象となる作業は、「加工部材の脱着作業」、「段取替え」、「着脱作業待ち」、「段取替え待ち」の4つとなるため、正解はイとなります。
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