今回の過去問解説はH24年第13問の需要予測の問題です。
H24 運営管理 第13問
過去の需要量の時系列データを用いる需要予測法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 移動平均法では、データが過去にさかのぼるほど、その重みが増加する。
イ 移動平均法の予測精度は、用いるデータの数に影響される。
ウ 指数平滑法では、データが過去にさかのぼるほど、その重みが減少する。
エ 指数平滑法の予測誤差は、平滑化定数の値に影響される。
解説
この問題は移動平均法、指数平滑法それぞれの式を知っているかどうかが問われている基本的な問題です。
ですので、絶対に正解できるようになりましょう。
まず、それぞれの計算方法を確認しましょう。
まとめシートにも書いていますが、それぞれの計算方法は下記のとおりです。
選択肢アは、単純移動平均では過去にさかのぼっても重みは増加しませんし、加重移動平均法でも、過去ではなく直近の重みを大きくするのでこの選択肢は×と考えられます。
念のため他の選択肢も見てみましょう。
選択肢イは、その通りで、どれだけの過去のデータを用いるかが精度に影響します。
選択肢ウもその通りで、データが過去にさかのぼるほど重みは減少します。
感覚的にそうかな、と思うかもしれませんが、念のため公式を使ってこのことを示します。(数学が苦手な方はパスしてOKです)
指数平滑法の式は、
n+1月の予測売上高=n月の予測売上高+α(n月の実績売上高-n月の予測売上高) [①式]
で表されます。
ここで、
Fn+1: n+1月の予測売上高、 Fn:n月の予測売上高、Xn:n月の実績売上高
と置くと、①式は
Fn+1=Fn+α(Xn-Fn) [②式]
と表せますのでこの式を使って説明します。
②式を変形すると
Fn+1=(1-α)Fn+αXn [③式]
と表せます。
なお、Fnはn-1期の予測売上高をFn-1とすると
Fn=(1-α)Fn-1+αXn-1 [④式]
と表せ、これを③式に代入すると
Fn+1=αXn+(1-α)[αXn-1+(1-α)Fn-1]
=αXn+α(1-α)Xn-1+(1-α)2Fn-1 [⑤式]
と表せ、今度はこのFn-1にn-2期の予測売上高をFn-2としたときの式をさらに代入して・・・とやっていくと、
Fn+1=αXn+α(1-α)Xn-1+α(1-α)2Xn-2+α(1-α)3Xn-3+α(1-α)4Xn-4+・・・ [⑥式]
といった形で表せます。
⑥式を見ると、Fn+1は過去の実績値の積み重ねとして表すことができ、αが0<α<1のとき、直近の実績データは過去の実績データよりウエイトが高くなっていることがわかります。
そのため「データが過去にさかのぼるほど、その重みが減少する」と言えます。
選択肢エはその通りで、誤差は平滑化定数の値に影響されます。
以上から正解は選択肢アとなります。
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