【過去問解説(財務・会計)】R5 第23問 為替

今日は、財務・会計 R5 第23問 について解説します。

財務・会計 R5 第23問 

 次の文章の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、手数料、金利などは考えないこととする。

現在の為替相場(直物)は1ドル130円である。3か月後にドル建てで商品の仕入代金1万ドルを支払う予定の企業が、1ドル131円で1万ドルを買う為替予約(3か月後の受け渡し)を行うとする。このとき、3か月後の為替相場(直物)が 134円になると、為替予約をしなかった場合に比べて円支出は[ A ]。他方、3か月後の為替相場(直物)が125円になると、為替予約をしなかった場合に比べて円支出は[ B ]。
〔解答群〕
ア A: 3万円多くなる   B: 6万円少なくなる
イ A: 3万円少なくなる  B: 6万円多くなる
ウ A: 4万円多くなる   B: 5万円少なくなる
エ A: 4万円少なくなる  B: 5万円多くなる

解説

 為替に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。

 

例えば、ドルと円の為替取引において、満期時の権利⾏使価格が 1 ドル 130 円、オプションプレミアムが 1 円のコールオプションを購⼊した場合について考えます。
もし満期時、1 ドル 135 円となった場合、オプションの買い⼿は権利を⾏使することで、1 ドル130 円で購⼊することができ、オプションプレミアムの 1 円を差し引いた 4 円の利益を得ることができます。このようにオプションの買い⼿が権利を⾏使する価値がある状態のことをインザマネーといいます。
また、同じ取引でもし満期時 1 ドル 127 円となった場合、オプションの買い⼿は権利を⾏使すると逆に損をしてしまうため、権利を⾏使せずに市場からドルを購⼊します。そのため、オプションの買い⼿は、オプションプレミアム分の 1 ドル当たり 1 円の損失を被ります。このようにオプションの買い⼿が権利を⾏使する価値がない状態のことをアウトオブザマネーといいます。
なお、権利⾏使価格と市場価格が同じ場合はアットザマネーといいます。コールオプションの損益を縦軸に損益、横軸に価格を取った損益図で表した場合、コールオプションの買い⼿の損益は、権利⾏使価格までは⼀定のオプションプレミアム分の損失で、権利⾏使価格以降は右上がりのグラフとなります。また、売り⼿は買い⼿と上下対称のグラフとなります。⽚仮名の「ル」の右側の部分は右上がりの形になっているので、それと同じと覚えると覚えやすいです。
コールオプションは、掛け取引の決済などで後⽇現地通貨を調達する必要がある輸⼊業者が為替リスク(将来の円安による仕⼊価格の上昇等)をヘッジ(回避)するために⽤います。

基本的な用語の意味と使い方について知識を思い出した上で、選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢イ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢ウ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。

 

以上から、正解は選択肢イとなります。

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