今日は、財務・会計 R5 第18問 について解説します。
ポートフォリオ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、リスク資産の間の相関係数は 1 未満であり、投資比率は正とする。
ア 2 つのリスク資産からなるポートフォリオのリスク(リターンの標準偏差)は、ポートフォリオを構成する各資産のリスクを投資比率で加重平均した値である。
イ 2 つのリスク資産からなるポートフォリオのリターンは、ポートフォリオを構成する各資産のリターンを投資比率で加重平均した値である。
ウ 2 つのリスク資産からポートフォリオを作成するとき、両資産のリターン間の相関係数が大きいほど、リスク低減効果は顕著となる。
エ 安全資産とリスク資産からなるポートフォリオのリスク(リターンの標準偏差)は、リスク資産への投資比率に反比例する。
解説
ポートフォリオ理論 に関する問題です。
まとめシートでは、以下の通り解説しています。
ポートフォリオ理論
効率的フロンティア : 2 つの証券 A、B を組み合わせたときの各状況における収益率は以下のように表せます。
各状況の収益率=証券 A の各状況の収益率×証券 A の⽐率+証券 B の各状況の収益率×証券 B の⽐率
この各状況の収益率から求めたリターンやリスクが証券 A、B を組み合わせた場合のリターンやリスクになります。A 証券と B 証券のリターンとリスクの関係をグラフにすると、「く」の字型のグラフとなります。最もリスクが低くなる点を C と置き、証券 A のリターンとリスク>証券 B のリターンとリスクのとき、証券 A の割合が 0%、証券 B の割合が 100%のときの点を B とし証券 Aの割合が 100%、証券 B の割合が 0%のときの点を A とします。証券 A が 0%から徐々に増えていく場合、ρが 1 でないときは、最初は証券 A の割合が増えるとその分リターンが増え、組み合わせによる効果でリスクも減っていきます。点 C まで⾏くとリスクが最⼩になりますが、それ以後は証券 A の割合が増えるにつれてリスクが増加していきます。この場合、同じリスクでより⾼いリターンが望める曲線 AC 上の点があるので、リスク回避的な投資家であれば、曲線 CB 上の組み合わせは取らず、曲線 AC 上の点を取ります。この曲線 AC を効率的フロンティアと呼びます。
安全資産を含む効率的ポートフォリオ:これまで、市場の変動の可能性がある証券の話を中⼼としてきましたが、国債のように収益率の変動の可能性がほぼ 0 の資産もあります。このような変動の可能性、つまりリスクが 0 の資産のことを安全資産といいます。そして、国債の⾦利のようにリスクが 0 の資産の期待収益率のことをリスクフリーレートといいます。それに対し、これまで説明してきた市場の変動の可能性があるリスクが 0 でない資産のことを危険資産といいます。この安全資産をポートフォリオに組み⼊れた場合、最もリスクを嫌う投資家はすべて安全資産に
投資します。また、証券 A、B と安全資産の組み合わせは曲線 AB 上の点と点 F を結んだ直線上にあります。このとき、同じリターンでリスクが最⼩となるのは、点 F から曲線 AB に接点 T で接するように引いた線上にあり、この線を資本市場線と呼びます。また、このときの接点 T を市場ポートフォリオと呼びます。安全資産を含むポートフォリオの場合、リスクとリターンの組み合わせは線分 FT 上にあります(まとめシートの図の実線の部分)。さらに、もし借⼊が可能な場合は、リスクフリーレートでお⾦を借り、市場ポートフォリオと同じ⽐率で資産に投資することができます。その場合、リスクとリターンの組み合わせは線分 FT をT ⽅向に伸ばした線上にあります(図の点線の部分)。
基本的な用語の意味と使い方について知識を思い出した上で、選択肢をみていきましょう。
選択肢ア:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢イ:その通りです。
よって、この選択肢は〇です。
選択肢ウ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
選択肢エ:誤りです。
よって、この選択肢は×です。
以上から、正解は選択肢イとなります。
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