【過去問解説(財務・会計)】R3 第22問 企業価値評価

今日は財務・会計のR3第22問について解説します。

R3 財務・会計 第22問

企業価値評価に関する以下の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

企業価値評価の代表的な方法には、将来のフリー・キャッシュフローを【 A 】で割り引いた現在価値(事業価値)をベースに企業価値を算出する方法である【 B 】 法や、会計利益を割り引いた現在価値をベースとして算出する収益還元法がある。
これらとは異なるアプローチとして、類似の企業の評価尺度を利用して評価対象企業を相対的に評価する方法がある。利用される評価尺度は【 C 】と総称され、例としては株価と 1 株当たり純利益の相対的な比率を示す 【 D 】や、株価と 1 株当たり純資産の相対的な比率を示す【 E 】がある。

(設問 1 )
文中の空欄AとBに入る語句および略語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕

ア A:加重平均資本コスト  B:DCF
イ A:加重平均資本コスト  B:IRR
ウ A:自己資本コスト    B:DCF
エ A:自己資本コスト    B:IRR

 

(設問 2 )
文中の空欄C~Eに入る語句および略語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕

ア C:ファンダメンタル  D:EPS       E:BPS
イ C:ファンダメンタル  D:PER  E:PBR
ウ C:マルチプル     D:EPS       E:BPS
エ C:マルチプル     D:PER  E:PBR

解説

企業価値評価の代表的な方法に関する問題です。

解答する各用語の理解を図る出題となっています。この問題を通じて、知識の整理をすることができます。設問1と設問2がありますが、設問1の内容は二次試験でも頻繁に問われる論点です。設問2のPERやPBRは、過去には算出させる問題も出題されていましたが、今回は知識を問う問題でした。

企業価値とは企業の価値のことであり、この価値を図るため多様な算出方法が存在します。企業価値評価の方法は大きく分けると、①フローと②ストックの2つの考え方からのアプローチがあります。

①フローからの考え方からの企業価値の算出方法をインカムアプローチと呼ばれ、DCF法や収益還元法があります。

②ストックからの考え方からの企業価値の算出方法では、コストアプローチには簿記純資産法や時価純資産法が含まれ、またマーケットアプローチには市場価格法やマルチプル法が含まれます。

今回の問題では、設問1ではインカムアプローチの代表的手法が問われていました。

DCF法は、企業が生み出すフリーキャシュフロー(FCF)を企業が資金を調達するためにかかるコストを示す加重平均資本コスト(WACC)で割り引くことにより、企業価値を算出する方法です。
ざっくりと結論だけお伝えすると 企業価値 ≒ FCF ÷ WACC で算出できます。

よって、空欄Aには「加重平均資本コスト」、空欄Bには「DCF」が入りますので、設問1の正解は選択肢アとなります。

設問2ではマーケットアプローチの中の手法が問われていました。

マルチプル法(株価倍率法)は、非上場の企業が自社の市場価値を図る際に、類似の上場企業の株価に関する指標(PERやPBRなどの倍率)に、自社の財務数値(当期純利益や純資産)を乗じて株式価値を求める方法により企業価値を図る方法です。
PER(株価収益率)は、株価 ÷ 1株当たり当期純利益 で求めることができます。
PBR(株価純資産倍率)は、株価 ÷ 1株当たり純資産額(簿価)で求めることができます。

よって、空欄Cには「マルチプル」、空欄Dには「PER」、空欄Eには「PBR」が入りますので、設問2の正解は選択肢エとなります。

 

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