今回は財務・会計のMM理論についてです。
MM理論は頻出の論点である上に比較的得点しやすい問題が多く出る論点です。
2次では出題されませんが、1次対策としては重要な論点です。
H29 財務・会計 第17問
借入金のあるなし以外は同一条件の2つの企業がある。このとき、税金が存在する場合のモジリアーニとミラーの理論(MM 理論)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 節税効果による資本コストの上昇により、借入金のある企業の企業価値の方が高くなる。
イ 節税効果による資本コストの上昇により、無借金企業の企業価値の方が高くなる。
ウ 節税効果による資本コストの低下により、借入金のある企業の企業価値の方が高くなる。
エ 節税効果による資本コストの低下により、無借金企業の企業価値の方が高くなる。
選択肢を見ると、税金が存在する企業は
①節税効果によって資本コストが上がるのか?下がるのか?
②企業価値が高くなるのか?低くなるのか?
について問われていることがわかります。
MM理論の修正命題は「法人税がある市場では、負債比率が高まると負債の節税効果によって節税効果の現在価値分だけ企業価値が向上する」というものでした。
ですので、②の企業価値については、高くなる、というのが回答です。
①の節税効果によって資本コストが上がるのか、下がるのか、について考えてみます。
資本コストとは割引率のことで、資本と負債がある場合は加重資本コストつまりWACCのことです。
つまり、借入金のあるなし以外は同一の条件の2つの企業で税金があった場合WACCは上がるのか、下がるのかと聞かれています。
WACCは以下の式で表すことができます。
この式を見ると税金があった場合(1-t)が小さくなるためWACCは小さく、つまり資本コストは小さくなります。
もう一つの考え方は
企業価値=FCF÷WACC なので、
WACC=FCF÷企業価値 と表せます。
企業価値は高くなるのでFCFが変化しない場合WACCは小さくなる、といえます。
以上より、①資本コストは低下し、②企業価値は高くなるため選択肢ウが正解となります。
①を判別するためには上記のどちらのアプローチでもOKですが、資本コスト、と聞いて「つまり、WACCのことだな」とすぐに思えるかどうかがこの問題を解くカギとなります。
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