今回は、財務・会計から、平成26年の第15問について解説します。
H26 財務・会計 第15問
現在A社は、全額自己資本で資金調達しており、その時価は10,000万円である。
A社は毎期600万円の営業利益をあげており、この営業利益はフリー・キャッシュフローに等しい。MM理論が成り立つものとして、下記の設問に答えよ。
(設問1)
A社が利子率2%の借入を行うことによって 2,000万円の自己株式を買入消却し、負債対自己資本比率を 20:80 に変化させたとき、A社の自己資本利益率は何%になるか。最も適切なものを選べ。ただし、法人税は存在しないものとす
る。
ア 7%
イ 8%
ウ 22%
エ 24%(設問2)
(設問1)のようにA社が資本構成を変化させたとき、法人税が存在する場合、資本構成変化後のA社の企業価値はいくらになるか。最も適切なものを選べ。
ただし、法人税率は40%とする。
ア 9,960万円
イ 10,000万円
ウ 10,040万円
エ 10,800万円
解説
今回の問題も前回と同じく、設問1が財務レバレッジ、設問2がMM理論についての問題です。
それでは各設問を見ていきましょう。
(設問1)
これは財務レバレッジの式を使って求める問題です。
財務レバレッジの式は、
でしたね。
ちょっと覚えにくいですが、これを使うと自己資本利益率、つまりROEを求めることができます。
今回の問題の場合ですと、法人税は存在しないものとする、とありますのでt=0となります。
ROAは、事業利益÷総資産で、事業利益=営業利益+営業外収益として求めます。
今回の場合、営業利益が600万円、営業外収益が0、総資産が10,000万円ですので、
ROA=600÷10,000=0.06 より、6%となります。
また、負債比率は、負債÷自己資本として求め、負債対自己資本比率が 20:80ですので、
負債比率=20÷80=1/4
となります。
また、負債利子率iは問題文より2%となります。
これを公式に代入すると、
自己資本利益率=(1-0)(6%+1/4×(6%-2%))
=6%+1%=7%
となり、正解は選択肢アの7%となります。
ちなみに、上記の財務レバレッジの式を忘れてしまっても、この問題の場合別の方法でも解くことができます。
自己資本利益率を求める問題ですので、
自己資本利益率=当期純利益÷自己資本
として、それぞれを求めるという方法です。
時価10,000万円全額自己資本の会社が、負債対自己資本比率を 20:80に変化させたということなので、負債が2,000万円、自己資本が8,000万円となります。
また、当期純利益は、営業利益が600万円、営業外費用が利子の分だけ発生し、
2,000万円×2%=40万円 より40万円、税金は考慮しないので、
当期純利益=600万円-40万円=560万円
となり、
自己資本利益率=560万円÷8,000万円=0.07 より、7%と求めることもできます。
今回の問題の場合、こちらの方が計算量としては少ないので楽に求められるかもしれません。
(設問2)
この問題はMMの修正命題で示される式を使って解きます。
MMの修正命題は
でしたね。
これを踏まえると
企業価値=10,000万円+0.4×2,000万円=10,800万円
となり、正解は選択肢エの10,800万円となります。
さて、前回の財務会計の記事を読んでいただいた方なら、ここまで解説を読んでいただいて、「あれ?もしかして、前回の解説をコピペしてる?」と感じた方もいるかと思います。
はい、その通りです。コピペしました。
コピペしたのは、私が楽をしたいという理由も半分くらいあるのですが、これを通じてぜひ、過去問とほぼ同じ解き方をする問題が実際に出題されている、ということを知っていただきたいと考えたからです。
見比べてみてわかる通り、数字を入れ替えたら解き方は同じです。
試験まであと2か月を切り、過去問演習などを一生懸命されている方が多いかと思います。
このように、過去問とそっくり同じような問題が出題される場合もあるので、ぜひ「本番で同じような問題に出会ったら自分はちゃんと対処できるか」ということを意識しながら問題演習をやってみてください。
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