【過去問解説(経済学)】R4 第4問 絶対所得仮説

今日は、経済学のR4 第4問 について解説します。

 経済学 R4 第4問

絶対所得仮説によって所得と消費の関係を述べた記述として、最も適切なものはどれか。

ア 今月は職場で臨時の特別手当が支給されたので、自分へのご褒美として、外食の回数を増やすことにした。
イ 将来の年金が不安なので、節約して消費を抑制することにした。
ウ 職場の同僚が旅行に行くことに影響を受けて、自分も旅行に行くことにした。
エ 新型コロナウイルスの影響で今年の所得は減りそうだが、これまでの消費習慣を変更することは困難なので、これまでどおりの消費を続けることにした。
オ 賃上げによって給料が増えることになったが、不景気が当分続きそうなので、消費は増やさないことにした。

解説

絶対所得仮説に関する問題です。
絶対所得仮説については、まとめシートで以下の通り解説しています。

消費⽔準はケインズ型消費関数に依存するものとして計算します。ケインズ型消費関数は、絶対所得仮説とも呼ばれ、消費Cは、所得とは関係なく⽣きていくために最低限必要な消費⽔準である独⽴消費C0と、所得の増加に⽐例して増加する消費cYからなるとして、消費Cと所得Yの関係を以下のような関数「C=cY+C0」として表したものです。

それでは選択肢をみていきましょう。

選択肢ア:その通りです。特別手当が支給され所得Yが増加すると、消費Cもそれに伴い増加します。
よって、この選択肢は〇です。

選択肢イ:誤りです。選択肢の説明は、絶対所得仮説ではなく、ライフサイクル仮説に関するものです。ライフサイクル仮説とは、今期の消費は⽣涯所得に依存し、消費量は現在の所得ではなく、⼀⽣のうち使える⾦額と消費がバランスするように消費をするという考え⽅です。
よって、この選択肢は×です。

選択肢ウ:誤りです。選択肢の説明は、絶対所得仮説ではなく、空間的相対所得に関するものです。空間的相対所得とは、個⼈の消費は同じ社会階層の⼈の消費⽔準にも影響されるため、⾃分だけ消費を減らすわけにはいかないと考え、消費を続けてしまうという考え⽅です。この効果のことをデモンストレーション効果とも呼びます。
よって、この選択肢は×です。

選択肢エ:誤りです。選択肢の説明は、絶対所得仮説ではなく、時間的相対所得に関するものです。時間的相対所得とは、例えばリストラされても家賃は下げられないというように、現在の消費量が過去の消費量にも影響を受け、短期的に所得が減ったとしても消費を急に減らすことができないという考え⽅です。この効果のことを、⻭⾞が1⽅向にしか回らないラチェット機構になぞらえてラチェット効果と呼びます。
よって、この選択肢は×です。

選択肢オ:誤りです。絶対所得仮説の考え方では、賃上げによって給料が増えると所得Yが増加するため、消費Cもそれに伴い増加します。
よって、この選択肢は×です。

以上から、正解は選択肢アとなります。

 

 

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